2018年12月12日(水)

静岡県内市町、生涯活躍の街づくり シニア活力生かす

2018/8/11 0:30
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静岡県内の自治体で、住民の生涯活躍を目指した街づくりが広がっている。交流拠点の開設や自治組織との関係強化など手法は様々だ。都市部から高齢者を移住者として迎え、地域活性化につなげる「日本版CCRC」の取り組みが全国に広がっており、県内自治体もアクティブシニアの活力を生かそうと独自の施策を打ち出す。

静岡市は高齢者の活躍を支援し、多世代が交流できる街づくりを目指す(市内の交流拠点)

静岡市は6月、駿河区の南部図書館2階に地域福祉共生センター「みなくる」を開いた。静岡県立大学(静岡市)の職員2人を地域コーディネーターとし、多世代の交流を促すような地域を巻き込んだイベントを施設内外で企画する。

開所後しばらくは市が主催する高齢者の健康チェックや相談会、高齢者福祉と関わりの薄い手芸体験講座などが多かったが、徐々に市民活動にも使われているという。健康づくりや地域の支え合いの拠点として、今後は近隣の小学校や区役所、県立大などと連携し、催しを拡充する。

一方、葵区の市中心街で10月に完成する再開発ビル「札の辻クロス」の上層階には有料老人ホームが入り、県外からも入居を見込む。運営会社は市と協定を結び、専門の人員を置いて周辺商店街や住民と入居者との交流を促す。市保健福祉長寿局の加藤正嗣理事は「既存の街の機能との関係づくりがカギ。駿河・葵2区をモデルに横展開していきたい」と話す。

自治組織と手を組む動きも広がる。裾野市は4月から、ほぼ月1回のペースで各自治会と「元気な地域づくり研究会」を開く。高齢者の生活支援など地域の課題のほか、交流促進策などについて話し合い、市の市民課や介護保険課などが政策に反映する。

菊川市は17年度から市内11地区にあるコミュニティ協議会の活動内容をイベント中心から課題解決型に変えた。地域主体で課題を共有し、解決に取り組む機能を充実させる。

県は17年度、「生涯活躍のまち」と呼ばれる日本版CCRCを目指す全国の取り組みについて分析・紹介する「生涯活躍につながるまちづくり・地域づくり取組事例集」を作成した。各市町に参考にしてもらい、地域の実情に合わせた施策を支援する。

生涯活躍のまちづくりは県内では「スマートウェルネスみしま」を打ち出す三島市が先行している。健康増進を後押しする市民講座「みしま健幸体育大学」の開設や健康伝道師の育成、タニタとの協業による健康メニュー提案などを展開する。松崎町や南伊豆町など伊豆地域は移住促進も狙い生涯活躍を推進する。

▼日本版CCRC構想 CCRCはContinuing Care Retirement Communityの略。高齢者が健康なうちに移り住み、必要になれば十分な介護や医療を受けつつ暮らせる生活基盤。米国をモデルに、日本では「生涯活躍のまち」として政府の有識者会議が2015年に構想をまとめた。

日本版は高齢者に地域活動に積極的に参加してもらい、経験を生かしながら多世代との交流を促して健康長寿を目指す。移住促進や地域活性化、首都圏での高齢者の集中緩和などの狙いもある。

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