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浮体式なら日本勢 洋上風力で負けられない理由

日本で洋上風力発電の導入拡大に向けた動きが活発になってきた。注目を集めるのは海上に風車を浮かべて発電する浮体式。先行する欧州では海底に風車を設置する着床式が主流で、浮体式は世界で事例がまだ少ない。欧州の技術を取り入れながら独自開発を積み重ねていけば、日本勢が浮体式でリードできるチャンスが広がるかもしれない。

羽2枚でコスト削減

10日、日立造船丸紅などは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で開発した浮体式洋上風力発電システムの実証機を北九州の響灘地区で報道陣に公開した。港から約15キロメートル離れた沖に設置し、9月から試運転を始める。

完成した風力発電システムは日本と欧州企業の技術を組み合わせた。高さ約72メートルのタワーと羽根はドイツ企業が設計。浮体構造物はフランス企業が設計し日立造船が建設した。羽根は一般的な3枚でなく、軽くするため2枚にしたことが特徴。羽根の枚数が減るとコストの低減にもつながる。クレーン車のコストも削減できる。発電機などが入ったナセルも小型化した。3年半後に実証実験を終える。

丸紅で国内電力プロジェクト部長を務める幾島渉氏は「世界でまだ実例が少ない浮体式の先端技術を組み込んだ。うまくいけばゲームチェンジが起こる」と期待を込めた。

日立造船は2012年に洋上風力発電の建設事業を開始。着床式と浮体式の開発を手掛ける。15年には風力発電所の運営にも進出した。25年度に風力発電事業で500億円規模の売り上げを目指している。

洋上風力、太陽光につぐ主力に

遠浅の海が少ない日本では浮体式風力の開発が相次ぐ。戸田建設は長崎県の五島列島沖で日本で初めて浮体式洋上風車の商用運転を開始。建設技術を応用し風車を沖まで運ぶための専用船も開発した。

後押しするのは政策だ。7月上旬に閣議決定した政府の第5次エネルギー基本計画では風力などの再エネを「主力電源化する」と位置づけ、特に洋上風力の開発を重点的に支援する方針を打ち出した。日本近海では浮体式は着床式の約5倍の導入可能面積があるとの見方もある。

ゴルフ場跡地などの適地の開発が一巡して、適地が減っている太陽光が伸び悩んでいることも背景にある。洋上風力は再エネのなかで太陽光に次ぐ主力の電源になろうとしている。

洋上風力の普及に期待がかかる日本は欧州勢にとっても魅力的な市場だ。洋上風力世界最大手のオーステッド社(デンマーク)や北欧石油最大手のエクイノール社(ノルウェー)が18年中にも日本で営業を開始する計画。先行する欧州で蓄積した技術をいかして事業を拡大する考えだ。

縮む既存事業

だが有望市場を欧州勢にとられるわけにはいかない。日立造船はゴミ焼却発電プラントのエンジニアリング事業が売上高の6割超を占めるが、人口減や施設の集約化などで国内の廃棄物処理施設は減少傾向にある。

建設業界でも東京五輪・パラリンピック後の中長期的な大幅成長が見込みにくい。一方、風力は世界的に脱炭素化の流れのなかで需要が見込める事業だ。これまで培ってきた技術を応用しながら風力に活用し、世界でも実績が少ない浮体式でなんとしてもリードしたい思いがにじむ。

(柴田奈々)

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