「教室にエアコン」猛暑で議論再燃 次は体育館も?

2018/8/10 17:00
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公立小中学校の教室にエアコンが必要なのか。猛暑が続く中、議論が熱くなっている。首都圏でも東京都の設置率がほぼ100%に達する一方、千葉市はゼロ。子供の健康への影響が懸念され、保護者から設置要望が高まっている。ただ、最も暑い時期は夏休みでもある。財政面のハードルもあり、容易ではない。

教室の次は体育館にエアコンを設置するかどうかが議論になりそうだ(7月20日、福岡市の小学校の終業式)

教室の次は体育館にエアコンを設置するかどうかが議論になりそうだ(7月20日、福岡市の小学校の終業式)

千葉市の熊谷俊人市長のツイッターは今夏、エアコン設置を求めるコメントで炎上した。「エアコンが導入された自治体で熱中症の発症率が低下したデータはない」。執拗な批判に対し、熊谷氏のツイートにいらだちがにじむ。

同市立の小学校は111校、中学校は55校。すべてにエアコンを導入すれば、66億円かかると見積もる。千葉市は17年に財政危機からの脱出を宣言したが、懐に余裕があるわけではない。熊谷氏は記者会見で「市民から多くの要望があるのは事実であり、早期に整備したい」と述べたが、実現の時期は見通せない。

同じ首都圏でも公立小中学校のエアコン設置率(普通教室)の差は大きい。文部科学省の調査(17年4月時点)によると、千葉県内は44.5%に対し、埼玉県内は76.0%、神奈川県内は79.0%と全国平均を大きく上回る。東京都内は財政に余裕があることもあり、99.9%にのぼる。

都は10年の猛暑を受け、市区町村への独自補助を始めた。それまで23区が先行していたが、都の補助を背景に多摩や島しょ部でも加速した。都内小中学校の2万7118教室のうちエアコンがないのはわずか2教室。この2教室も改築や転用のため未整備で、実質的には完備といっていい。

小中学校のエアコンでは埼玉県所沢市がその是非を問う住民投票を15年に実施した。自衛隊基地の騒音対策で密閉性の高い窓を付けた29校が対象だった。賛成が反対を上回り、特に騒音が激しい地域には設置を決めたが、地球温暖化対策を重視した藤本正人市長は全面導入には慎重だった。しかし、投票後も保護者らから要望があり、「理想を掲げても違う意見がある」と柔軟路線に転換。18年度予算で市内全校導入に向けた調査費を計上した。

関東でも35度を超える日が続く中、導入する自治体はさらに増える見通しだ。

「子供の安全を守って」――。神奈川県小田原市では今夏、小学生の保護者が署名運動を展開。加藤憲一市長は早ければ来夏にも、全小中学校で設置する考えを示した。財政負担を理由に慎重論もあったが、市教委で「異常気象が異常ではなくなっている」と設置支持が大勢を占めた。

「小中学校のエアコン設置」は「子供医療費無料化」などと並んで公約の目玉に掲げることも多く、人気取り政策と取られることもあった。しかし、酷暑が続く中、小中学校のエアコンはもはやぜいたく品とはいえないのかもしれない。

話はさらに続く。教室への導入がほぼ完了した東京都も体育館の整備率は8.4%。夏休みに部活動で使うことも多い。都議会では「災害発生時の避難所になる」とエアコンの整備を求める声も出る。果たしてどこまで必要なのか。熱くならず、クールな議論が求められる。(下村恭輝)

小中学校のエアコン設置
 文部科学省の調査によると、全国の公立小中学校の普通教室でエアコンを導入している割合は2017年4月時点で49.6%。調査を始めた1998年は3.7%だったが、全国的に過去最高の暑さを記録した10年ごろから設置が加速した。
 北海道や東北各県の設置率がそろって低い。西日本でも香川県(97.7%)は整備がほぼ完了しつつある一方、愛媛県(5.9%)や長崎県(8.6%)など10%未満の地域もある。
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