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次の100年へ 高校野球に求められるもの
スポーツライター 浜田昭八

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2018/8/12 6:30
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100回の記念大会を迎えた全国高校野球選手権大会が、酷暑の中で熱戦を展開している。この大会を取材するたびに、戦後間もないころ甲子園球場の外野席で観戦したときの思いがけないシーンを思い出す。

北海道代表校の左翼手が飛球とは逆の方向へ走り、凡フライと思われた当たりを安打にした。しかも、同じミスを続けた。その選手はベンチへ呼ばれ、監督の注意を受けたあと守備位置へ戻った。鉄傘は戦時中の「金属供出」で取り払われたままだった。観客の服装は白一色、今ほどカラフルでなかった。打球判断はいまと比べようもないほど難しかった。

5日、甲子園球場で開幕した第100回全国高校野球選手権大会=共同

5日、甲子園球場で開幕した第100回全国高校野球選手権大会=共同

今大会の初日、慶応―中越戦でも打球処理での"逆走"があった。ただ、その中身は北海道の左翼手のプレーとは大違いだった。

慶応の遊撃手が左へ飛んだゴロに対し、右へ一歩踏み出したために安打にした。打球を見誤ったのではなく、捕手のサイン、構えを見て打球のコースを予測、右へ動く意識が働いたのだ。高度な"勇み足"とでもいうべきか。

攻守に目覚ましい技術的進歩

最近の高校野球の技術的進歩は目覚ましい。その昔は8番打者が外野席へ打ち込む本塁打など、めったにお目にかかれなかった。今では下位打者も油断ならない。ボール、バットの質がよくなったこともあるが、バットを短く持ってミートを心がける打法が後退し、だれもが力強くスイングしている。豊富な打ち込み、数多い練習試合での実戦体験が、ただの大振りでないスイングを可能にしている。左打者の早実・王貞治が左中間スタンドへ打ち込んだ一撃に驚いたものだが、最近では下位打者でも逆方向へ一発を見舞う。

守備もうまくなった。外野手の守備範囲の広さ、フェンス際の捕球などに、豊富な練習量がうかがえる。一発勝負のトーナメントでは、守りのよしあしが明暗を分かつ原因になりやすい。二遊間に思わず「うまい」と言いたくなる好プレーをみせる選手が多い。

甲子園出場常連校には中学時代から少年野球リーグに所属し、硬式野球になじんできた選手が多い。強豪校は有望な中学球児のスカウト合戦でしのぎを削る。今大会の出場校も例外ではない。八戸学院光星は18人のベンチ入り選手のうち、地元青森勢は2人だけ。福島から12年連続出場の聖光学院は地元勢8人を擁しているが、あとは東京、大阪、兵庫、岡山などの他都府県勢が集う"多本籍軍"だ。

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