2018年8月21日(火)

米、ロシアに追加制裁 英暗殺未遂 中間選を意識

トランプ政権
ヨーロッパ
北米
2018/8/9 7:12
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 【ワシントン=中村亮】米国務省は8日、3月に英国で起きたロシア元情報機関員の暗殺未遂事件で、ロシア政府が化学兵器を使用したと断定し、新たな経済制裁を発動すると発表した。22日にも米国の安全保障に関わるモノや技術の輸出を禁じる。今後も化学兵器を使う可能性があると判断すれば追加措置を検討する。米中間選挙を11月に控え、トランプ政権がロシアに対して弱腰だとの米国内の批判をかわす狙いがありそうだ。

米国はロシアのアルミ大手などに経済制裁を行ってきた(ロシア製アルミ合金)=ロイター

 米政府は1991年に制定された生物化学兵器の使用を禁じる法律に基づいて制裁を科す。3月の事件を受けロシア人外交官を国外追放したが、経済制裁で強硬姿勢をアピールする。3月以降にロシアの個人・企業を対象に制裁を発動。今回は貿易全般が対象となる可能性をちらつかせてロシアをけん制する。

 ロシアの駐米大使館は8日、制裁発動の発表を受け「口実をもとに新たな『厳しい』制裁が発表された」と抗議する声明を出した。声明はロシアが元情報機関員の暗殺未遂事件に関与した事実や証拠は明示されていないと改めて強調。米国側に説明を求めたが、拒否されたとしている。ロシアは事件への関与を一貫して否定している。

 米メディアによると、制裁は2段階で発動される。まず22日にも航空機に使う電子部品などの安全保障に関わるモノや技術の輸出を禁じる。いままでは米政府が案件ごとに輸出を許可していた。

 第1段階の制裁発動から約3カ月以内に、ロシアが化学兵器の使用停止を確約しなかったり、国連などによる査察を受け入れなかったりすれば追加措置を検討する。米メディアによると、アエロフロート・ロシア航空の米国発着やほぼすべてのモノの貿易を停止する可能性がある。

 トランプ政権にはロシアへの強硬姿勢を演出する狙いがありそうだ。トランプ米大統領は7月中旬にロシアのプーチン大統領と会談し、米ロ関係の改善に意欲を示した。だが、2016年のロシアによる米大統領選への干渉を否定したため、身内の米共和党やメディアから弱腰だとの批判が相次いだ。トランプ氏が模索した今秋のプーチン氏のワシントン訪問も来年以降に延期していた。

 3月の暗殺未遂事件をめぐっては欧州諸国もロシアの外交官を国外追放して米欧が結束して対応していた。欧州からはロシアの主要7カ国(G7)首脳会議への復帰を主張するなど対ロ融和姿勢を見せるトランプ氏に懸念する声が出ており、今回の追加制裁を歓迎するとみられる。

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