2018年9月21日(金)

新燃費試験でCO2排出が大幅増 英JATOが指摘

科学&新技術
BP速報
2018/8/8 18:00
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日経クロステック

 英国の調査会社、JATOダイナミクス(JATO Dynamics)は2018年8月3日、「乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP:Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)」の影響に関する最新調査結果を発表した。新しい燃費測定基準であるWLTP値に移行すると、自動車メーカーは既存のNEDC(New European Driving Cycle)値より二酸化炭素(CO2)排出量が大幅に増えてしまう可能性があるという。

 欧州では2018年10月からWLTPに移行するのを目前にし、WLTPモードでテストしていないモデルには、NEDC値からCO2MPASを利用してWLTP値を算出する方法が取られる。CO2MPASは、WLTP値算出用に開発されたシミュレーションモデルで、平均的な性能指標として車両タイプやクラスに割り当てられた排出係数をNEDC値に掛ける。実際にWLTPモードでテストした値との誤差は5%未満で、7割以上が誤差3%未満で予測できるとされている。

(出所:JATO Dynamics)

(出所:JATO Dynamics)

■ディーゼル車離れが拍車

 算出されたWLTP値とNEDC値との差は、4月の段階で8g/kmだったが、現在は9.6g/kmまで広がった。現時点ではWLTPモードで再認可されたモデルの多くはAセグメントとBセグメントに集中している。今後、質量が重い大型モデルが追加されるに従って、NEDC値との差がさらに広がる可能性がある。

 欧州市場では、CO2排出量がガソリンエンジン車より少ないディーゼルエンジン車の人気が下がり、シェアが37%に低下した。一方、ガソリンエンジン車は57%に増えている。また、CO2排出量の少ない代替燃料車(AFV)は前年より販売台数が増えているものの、シェアは6%と低く、ディーゼルエンジン車からの買い替え需要を取り込めていない。JATOはWLTPテスト基準に基づく高いCO2値とガソリン車へのシフトにより、欧州の自動車から排出される統計上のCO2排出量がさらに増加すると予測している。

■自動車メーカーの負担が増す

 また、CO2排出量はEU各国の税金や自動車メーカーへの規制に対する罰金に影響を与える。EU加盟国ではフランスやドイツ、英国など主要市場を含む国々で登録された車両に対し炭素税が課されている。こうした国々では、NEDC値からWLTP値のCO2レベルが上がることで税率が変化する可能性がある。また自動車メーカーは、EU規制のCO2削減目標に届かないとペナルティーが課せられ、多額の罰金を支払わなくてはならない。

 JATOは、「WLTPテストによる再認可の影響は、これまで考えられていたよりも大きい可能性が出てきた。全モデルがWLTPモードで認可されると、2019年のCO2排出量の平均は目標値の118g/kmを上回る130g/kmに達する可能性がある。一方でCO2目標値は2021年に95g/kmになる。自動車メーカーは販売台数1台につき、95ユーロ/gの罰金を支払わなければならず、2017年の年間販売台数が1600万台を超えた欧州の自動車業界にとって大きな金銭的打撃になるだろう」とコメントした。

(ライター 櫛谷さえ子)

[日経 xTECH 2018年8月7日掲載]

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