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許されない「終身会長」 競技団体のあり方を問う
編集委員 北川和徳

2018/8/8 6:30
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 五輪スポーツを担当する記者として恥ずかしいことだが、アマチュアボクシングを統括する日本ボクシング連盟のトップが「終身会長」だとは、今回の騒ぎが起きるまで知らなかった。

取材に応じる日本ボクシング連盟の山根会長=共同

取材に応じる日本ボクシング連盟の山根会長=共同

 テレビカメラの前で乱暴な態度で一方的に持論を述べる山根明会長を見ると、こうした人物が強権を握る団体に、税金を含んだ多額の助成金が支払われていることにあきれてしまう。視聴者の大半も同じ憤りを感じたのではないか。

 反社会的勢力との交友を臆面もなく認める。個人に支給された助成金を自分の指示で他の2選手と分けさせたと認めながらも「親心でやった」と悪びれない姿には、コンプライアンスへの意識などかけらも感じられない。

 この混乱をどう収拾するのか。常識的に考えて、終身会長の辞任は必至、ボクシング連盟執行部の刷新は免れないだろう。そうなった場合、その後の組織を健全な体制に整えるのにも時間がかかる。2020年五輪の代表を目指す選手たちが負の影響をこうむるのは避けられそうもない。

チェック及ばぬ一般社団法人

 信じられないような前近代的な組織運営がまかり通った理由の一つに、ボクシング連盟が一般社団法人だったことがある。08年にスタートした新公益法人制度によって、国内スポーツ競技団体の多くは公益財団法人、公益社団法人へと移行した。

 日本オリンピック委員会(JOC)や日本スポーツ協会はもちろん公益財団法人だ。だが、20年東京五輪で実施される予定の競技でも、公益認定を受けていない一般法人がボクシングを含めて7団体ある。

 スポーツに限らず、税制面で優遇される公益法人の認定には、健全な財務体質や公正な組織運営が前提となる。事業の公益性を含めて18の認定基準があり、定期的にチェックを受けている。

山根会長が欠席する中で行われた全国高校総体のボクシング開会式=共同

山根会長が欠席する中で行われた全国高校総体のボクシング開会式=共同

 重要議題をトップの独断で決めるといった非民主的な運営は許されないし、終身会長などありえない。注目を集める代表選手選考でも公正さ、分かりやすさが求められ、公益法人となった競技団体の意思決定のあり方は大きく変わった。新制度への移行後、一部の競技団体では主導権争いによるトップの交代が頻発して混乱もあるのだが、それも以前のような身内だけによる閉鎖的な運営ができなくなったからだ。

 20年大会に向けてスポーツ界には、選手強化や組織の体制整備のために税金を含む多額の公金が投じられている。それを受け取る側に公正で健全な組織運営をする責任があるのは当然のことだ。公益認定を受けていない競技団体が必ずしも問題を抱えているとはいえないが、ボクシング連盟の騒動をきっかけに、公的な支援を受けるスポーツ競技団体のあり方についても議論を深める必要があるだろう。

(2020年東京五輪開幕まであと716日)

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