2018年11月18日(日)

天然より強い合成ゴム開発へ、ブリヂストンが最高速の「目」

2018/8/7 15:40
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ブリヂストンはゴムを伸ばした際に硬くなる部分が生じる様子を世界最高速で撮影する技術を確立した。合成ゴムに比べて亀裂が入りにくい天然ゴムの特性の解明につながると期待している。頻繁に交換しなくて済む耐久性の高いタイヤの開発が顧客から求められており、開発工程にこの最新技術を応用していく。

「ゴムの能力を最大限に引き出す材料開発につながる」とブリヂストン先端材料開発本部フェローの北村祐二氏は話す。撮影には電子を光のスピード近くまで加速させ、発生する放射光を利用して物質を原子レベルで観察する大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)を利用。市販のX線発生装置に比べ、100億倍明るいX線を照射した。

測定に成功したのはゴムの「伸長結晶化」と呼ばれる性質。天然ゴムは合成ゴム原料にもなる「イソプレン」が長くつながった構造を持つ。室温では長い分子の連なりがばらばらに絡まり合った状態で存在する。1秒間にゴムを300倍の長さへ伸ばす瞬間を1000分の1秒単位で連続撮影。結晶化が生じる仕組みを世界最高速で捉えた。

ゴムを伸ばす瞬間、絡まりがほどけた分子が一部にそろって硬くなる「結晶化」部分が生じる。結晶化すると、ゴムは1000倍程度硬くなる性質があるという。天然ゴムは合成ゴムより結晶化しやすい。ゴムに亀裂が入って結晶化した部分がそれ以上の亀裂を食い止めるため、天然ゴムは合成ゴムより耐久性が高いと考えられている。

引き伸ばしたゴムにX線を照射し、高速のビデオカメラでゴムが伸びる瞬間を撮影した。X線が結晶にあたって散乱する様子を分析することで、結晶化すると規則的に配列した画像が現れることを確認したという。

天然ゴムの結晶化は今回の研究よりも高速で生じている可能性もある。「いつまでに解明できるか分からない」と北村氏は今後の課題と認めるが、特性を解明できれば天然ゴムの耐久性能を高める材料や、天然ゴムを超える強度のある合成ゴム開発につながるとみる。

カーシェアリングの普及でタイヤの使用頻度は増え、これまでより高い耐久性能が求められるようになる。超大型ダンプトラック向けの巨大なタイヤのように天然ゴムが多く使われる分野も合成ゴムで代替できれば、軽量化やコスト減につながる可能性も出てくる。ブリヂストンは次世代のタイヤ開発に必要な材料の特性を見極めるための「目」を磨いている。(川上宗馬)

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