2018年12月15日(土)

3選の阿部・長野知事「産業振興で攻めの行政」

2018/8/7 0:00
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5日投開票された長野県知事選は、現職の阿部守一氏(57)が新人で元上田市議の金井忠一氏(68)を破り3選を果たした。6日に記者会見した阿部氏は、3期目の産業振興策として人工知能(AI)やあらゆる物がインターネットにつながるIoTなどへの対応を進める方針を示した。投票率は過去最低を更新しており、県政への関心を高める施策も求められる。

阿部氏は3選を決めた翌日、時折笑顔を見せながら会見に応じた(6日、長野市)

「(AIやIoTなど)先端技術の分野については時代を先取りする攻めの行政をしたい」。当選から一夜明けた6日、長野市内の選挙事務所で会見した阿部氏は3期目の抱負を聞かれるとこう話した。

阿部氏は知事選を通じて(1)子どもが希望を持てる社会(2)年を取っても安心できる社会(3)その前提となる産業振興――の3点を重点的に訴えた。産業を含めたのは「持続可能な社会をつくるためにも、産業が元気で安定した就労や収入の確保が暮らしの根本」との考えからだ。

県はこれまでも県内企業の航空宇宙産業や医療器具産業などへの後押しを進めてきた。ただ日々進歩する先端技術に対し、大企業は対応できても県内の大半を占める中小企業には難しい部分がある。企業向けにAIやIoTの支援体制を構築することで、先端技術の導入を進めたい考えだ。

公約では部局横断的に県を売り込む「長野県営業本部」の新設も訴えていた。阿部氏は設置の時期について「できるだけ早く」と明言した。現在は部局ごとに縦割りで展開している県のPRを、部局横断的に手掛ける新部署を設置することで効率的にする狙いだ。4月から始まった新県政指針の総合5カ年計画「しあわせ信州創造プラン2.0」の推進にも本腰を入れる。

対抗馬が工事の中止を訴えてきたリニア中央新幹線に関しては「リニア時代を迎える南信州は大きな発展の可能性がある」と前向きな方向性を改めて示した。一方で「リニアが単に整備されるだけで地域が活性化されるわけではない」として、官民一体となった活性化策が重要だとした。

人口減少も信州が抱える大きな課題となっている。阿部氏は選挙戦を通じて必要性を感じた政策について「子育て世帯の応援と若い世代の定住支援」を挙げた。保育の充実や中山間地支援を通じて人口減少のペースを抑制したい構えだ。

阿部氏が知事選を終始優位に戦い抜いた背景には政財界からの幅広い支持がある。対抗馬の金井氏が落選後に「多勢に無勢だった」と述べるほどのオール与党体制には批判の声も出たが、阿部氏は「私自身には与党や野党という発想はない。政策を実行するためには協力が不可欠だ」と批判をかわしてきた。

その支援の一翼を担った経済界からは期待の声も大きい。5日の選挙報告会では長野県経営者協会の山浦愛幸会長が「経済4団体で(阿部知事を)がっちり支えていくと約束する」と宣言。連合長野の中山千弘会長も「労働団体と経済団体も一緒になって長野県を良くしていく」と話した。

■全県で高い得票率

今回の選挙戦は主要政党や経済界の支援を取り付けた現職・阿部守一氏が85.14%もの得票率(有効投票数に占める得票数の割合)で圧勝した。候補者が3人いた2014年の選挙よりも0.91ポイント高く、前回に続いて手堅い選挙戦を展開した。

県内19市のうち、対立候補の金井忠一氏の地元である上田市を除く18市で得票率が8割を上回った。上田市でも7割を獲得するなど、県内全域でまんべんなく支持を得た形だ。金井氏はJR東海が進めるリニア中央新幹線事業の是非を争点に挙げたが、リニア事業が関係する飯田・下伊那地域でも支持を広げられなかった。

投票率は14年知事選を0.28ポイント下回る43.28%で、過去最低を更新した。前の知事選より約10ポイント下げた14年や、約13ポイント低下した10年に比べると下げ幅は小さくなったものの、投票率低下は依然として深刻だ。

地方自治を専門とする長野県立大学の田村秀教授は、低投票率について「阿部氏がオール与党体制を固め、選挙に行く必要がないと感じた人もいたのではないか。大きな争点もなかった」と指摘。3期目の県政運営については「周辺県との連携をさらに意識してほしい」と注文した。

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