2018年8月22日(水)

米、「インド太平洋戦略」肉付け急ぐ ASEAN諸国には警戒感も

トランプ政権
北米
2018/8/6 10:00
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 【シンガポール=永沢毅】ポンペオ米国務長官は5日、マレーシア、シンガポール、インドネシアの東南アジア3カ国の歴訪を終えて帰国の途に就いた。トランプ大統領が掲げる「インド太平洋戦略」の具体化に向け、経済、安全保障両面で米国の関与を強める方針を鮮明にした。ただ東南アジア諸国連合(ASEAN)には貿易戦争などで激しさを増す米中対立への懸念も広がっている。

会談するポンペオ米国務長官(左)とインドネシアのジョコ大統領(5日、ジャカルタ)=AP

 「自由で開かれたインド太平洋をめざす米国のビジョンを議論でき、満足だ」。ポンペオ氏は5日、ジャカルタでインドネシアのジョコ大統領との会談を終えて、ツイッターにこう投稿した。これに先立つ4日のルトノ外相との会談では、北朝鮮問題を含む地域の安全保障分野での協力を話し合った。

 ポンペオ氏が今回の東南アジア訪問で狙ったのは、中国の広域経済圏構想「一帯一路」で薄れる懸念があった米国の影響力向上だった。「インド太平洋戦略のもとで、ASEANとの協力を維持していきたい」。シンガポールで3日開いた米ASEAN外相会議でポンペオ氏はこう呼びかけた。

 インド太平洋戦略は2017年11月、トランプ大統領がアジア歴訪時に日本、オーストラリア、インドとの4カ国連携を軸に推進すると表明、具体化を急いでいた。ポンペオ氏はASEAN関連会合を前に、インフラやエネルギー分野の投資を支援するファンド設立を表明。まず1億1300万ドル(約125億円)を拠出する方針を示した。

 安保分野でも3億ドルの協力を公表した。東南アジアや太平洋諸国の沿岸警備の能力向上や、バングラデシュやスリランカなどインド洋に面した国々の海軍の支援に充てるという。

 こうした支援策はいずれも中国を意識したものだ。中国は南シナ海で軍事拠点化を進めるとともに、国有企業を通じてスリランカの港の運営権を取得するなど、インドを取り囲むように港湾拠点の整備を進めている。ポンペオ氏はASEAN外相との会合でも「南シナ海での法の支配への支持を感謝したい」と述べ、南シナ海問題を当事者間の協議で解決したいとする中国の誘いに乗らないようクギを刺した。

 ただ、中国は一帯一路構想の下、インド太平洋の各地で数千億円単位のプロジェクトを展開する。中国の王毅国務委員兼外相は4日の記者会見で、まだ1億ドルあまりの規模にとどまる米国のインド太平洋ファンドについて「米国は超大国なのだから、その10倍くらいは出したほうがいい」と皮肉った。

 ASEAN各国は米中双方との距離感に腐心する。シンガポールのバラクリシュナン外相は4日の会見で「冷戦のような事態を招くのを許してはならない」と指摘した。

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