【サンパウロ=外山尚之】南米ベネズエラ政府は5日、ドローン(小型無人機)を使ったマドゥロ大統領の暗殺未遂に関与したとして、容疑者6人を拘束したと発表した。政府発表によると、容疑者のうち1人は2017年の軍基地襲撃事件に関与した疑いがあるという。
ベネズエラ政府の発表によると、4日午後にカラカス市中心部で演説していたマドゥロ氏を狙ったドローンは2機で、プラスチック爆弾を搭載していた。1機は空中で爆発し、もう1機は近くのアパートに墜落したという。一連の騒動で兵士7人が負傷した。
政府は今回拘束した6人の容疑者のうち1人は、17年に武装集団が軍基地を攻撃し兵士2人が死亡した事件に関与した疑いがあるとしている。また別の1人はかつて反政府デモで拘束された後、解放されたという。氏名などの詳細は明かされておらず、真偽は不明だ。
ネストル・レベロル内務・法務相は今回の暗殺未遂について、ドローン世界最大手の中国DJIが製造した大型機が使われたと説明する。映画撮影などに使われ、重量物を運ぶことが可能だ。
民生用のドローンを使ったテロは世界中で警戒されている。中東地域では過激派組織「イスラム国」(IS)のテロに利用されているほか、1月にはシリアに展開するロシア軍が、爆弾を積んだ手作りのドローンによる攻撃を受けている。
マドゥロ氏は4日夜、「ベネズエラの極右組織とコロンビアのサントス大統領が攻撃の背後にいることは疑いがない」と主張した。コロンビア政府は地元メディアに対し「根拠がない」と否定している。