日朝外相接触、首脳会談へ半歩 北朝鮮に対話意思
拉致解決は見通せず

2018/8/4 19:48
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【シンガポール=甲原潤之介】河野太郎外相は東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)の機会に北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相と接触した。北朝鮮の一定の対話意思を確認し、安倍晋三首相が意欲を示す金正恩(キム・ジョンウン)委員長との会談へ半歩進んだが、日本人拉致問題の解決は見通せない。

ASEANプラス3の外相会議で発言する河野外相=4日、シンガポール(共同)

ASEAN関連の外相会合が終幕した4日夜。記者団に今後の拉致問題の進め方を聞かれた河野氏は「様々な問題を解決し国交正常化するという(02年の)日朝平壌宣言の立場から何も変わっていない」と淡々と述べた。3日に会った李氏の表情について「昨日申し上げたことに尽きる」と語るのみ。李氏も会合の期間中、記者団の取材に一切応じなかった。

日朝外相が接触したのはシンガポールの国際展示場で開いた夕食会の場。バンドの生演奏に包まれながら河野氏や康京和(カン・ギョンファ)韓国外相、ASEAN各国の外相らが杯を傾けた。顔を赤らめて満面の笑みを浮かべ言葉を交わす李氏の姿が人目を引いた。

日本政府関係者によると日朝外相は夕食会の会場と別に各国外相が集まれるように設けた部屋で会い、握手をし、短時間、話した。拉致問題解決を求めたとみられる。

日本の歴代外相も北朝鮮外相と会う機会にARFを活用してきた。河野氏は17年にも李氏とフィリピンで短時間会話した。あいさつ程度か、立ち話か、正式な会談か、などにより北朝鮮の対話への意思の強さを測れる。

昨年に続き短時間の立ち話だったが、対話の意思がゼロでないことは確認できた。米朝首脳会談後、北朝鮮メディアは制裁維持を主張する河野氏を名指しで批判することが多かった。外務省関係者は「今回の外相の接触により今後の首脳会談の余地を残した」とみる。

ただ北朝鮮は米国との朝鮮戦争の「終戦宣言」交渉を最優先にしている。夕食会で韓国の康外相が「会談を開きましょう」と水を向けると、李氏は「応える立場にはありません」と一蹴した。中国を巻き込み、韓国には仲介役として米国を動かすよう「圧力」を加えている最中だからだ。

日朝平壌宣言では拉致・核・ミサイルを解決し国交正常化した後、経済協力することを約束する。日本を含む各国は制裁を維持しており、日本が経済協力カードを切る環境は整っていない。北朝鮮が非核化への道筋を示していない状況で、日朝首脳会談を開いても成果はすぐに期待できない。

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