2018年9月19日(水)

非核化膠着、打開探る米
追加制裁、ARFで外相接触

トランプ政権
朝鮮半島
北米
2018/8/4 19:12 (2018/8/4 22:55更新)
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 【シンガポール=永沢毅、恩地洋介】トランプ米政権が非核化に向けた具体的な行動を進めない北朝鮮の締め付けに動いた。米朝首脳会談後で初めてとなる追加制裁に踏み切り、北朝鮮に早期の行動を促すとともに制裁緩和を唱える中国やロシアにクギを刺した。膠着している非核化交渉の打開をめざすが、強気の北朝鮮はむしろ米国への非難を強めている。

 シンガポールで4日に開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)。写真撮影の際、ポンペオ米国務長官が北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相に歩み寄り、握手をしながら笑顔で数十秒間会話を交わした。ロイター通信によれば、ポンペオ氏が「すぐにまた対話をすべきだ」と語りかけると、李外相は「多くの生産的な話し合いをしないといけない」と応じた。

 その後、米朝実務者協議を担当したソン・キム元駐韓米大使(現フィリピン大使)が李外相に、トランプ大統領から金正恩(キム・ジョンウン)委員長への手紙を手渡した。先に金委員長からトランプ氏に届いた書簡への返信という。

 この米朝接触の半日前。「米国は制裁強化を続け、北朝鮮への違法な資金の流入を断ち切る」。米財務省は3日、北朝鮮の違法な資金取引に関与したとして3団体と1個人を制裁対象に加えると発表した。北朝鮮が参加する数少ない国際会議のARFに合わせ、警告を発したのは明らかだ。

 背景には、金委員長が約束したはずの「完全な非核化」への具体的な動きがいっこうに見えないことへのいら立ちがある。米ホワイトハウスの関係筋によると、トランプ氏は最近、北朝鮮の非核化に関し「何か進展はあるか?」と周辺に尋ねることが多くなった。

 トランプ氏は6月の金委員長との会談後の記者会見で、300もの追加制裁の項目を用意しているが「発動を見合わせている」と明かした。理由は「対話をするのに制裁は失礼」と説明。3日の追加制裁は軌道修正を図った形だ。米政府関係者によると、北朝鮮に非核化措置を促すため、米政権は圧力を強める案を水面下で検討していた。

 実際、北朝鮮には非核化に逆行する動きが目立つ。米メディアによると、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが近く公表する中間報告書は、北朝鮮が「核・ミサイル開発を続けている」と明記した。

 寧辺(ニョンビョン)の核施設は2015年12月以降、18年2~4月の数日間を除き稼働が続いているという。積み荷を洋上で移し替える「瀬取り」の方法で「石油精製品の密輸を大幅に増やしている」とも指摘した。

 「非核化の実現に楽観的だ」。ポンペオ氏は4日の記者会見で非核化の先行きに自信を示したが、北朝鮮はむしろ強硬姿勢を鮮明にしている。

 「制裁の維持を声高に主張し、朝鮮半島の平和実現の最初の一歩となる(朝鮮戦争の)終戦宣言に後ろ向きだ」。李外相はARFで非核化先行を求める米国を強く非難した。「米国が我々の懸念を払拭する強い姿勢を示さなければ、我々が一方的に取り組みを進めることはない」とも主張。米国の今後の対応次第では6月の米朝首脳会談での合意事項の履行を停止する可能性すら示唆した。

 背後には後ろ盾として対北朝鮮制裁の緩和を主張する中国とロシアの存在がある。米国が制裁対象に加えた3団体と1個人には中国に本拠を置く企業やロシアの銀行も含まれ、中ロへのけん制の意味合いもある。

 ポンペオ氏は3日、中国の王毅国務委員兼外相に「国連制裁の履行が重要だ」と訴えた。非核化を巡る米朝の攻防は、関係国も巻き込みながら激しさを増しそうだ。

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