「バナナボート」ケガご用心 海保、注意呼びかけ

「バナナボート」など水上オートバイやプレジャーボートにけん引される遊具を使ったマリンレジャーで事故が多発している。7月には19件の事故があり、9件だった2017年から倍増した。大けがをする例も相次いでおり、猛暑で海のレジャーを楽しむ人が増える中、海上保安庁は注意を呼び掛けている。
こうした遊具はトーイング遊具と呼ばれ、バナナボートのほか、膨らませたボートの上に人が乗る「ビスケット」、たこのような形のボートに寝て空中を飛ぶ「フライフィッシュ」などが人気を集めている。

海保によると、今年は1~7月末に24件の人身事故が発生。13件だった17年の同時期に比べ1.8倍になった。7月の1カ月間では19件あり、内訳はバナナボート11件、ビスケット4件、フライフィッシュ2件など。17年7月に比べると2.1倍に増えた。
重傷を負うケースも相次いでいる。7月15日午後、香川県沖でビスケットにうつぶせの状態で乗っていた男性(35)が、けん引する水上ボートがスピードを上げたところ転落し肋骨を骨折。同1日にも石川県でバナナボートに乗っていた男性(17)が水に落ち、大けがをした。

同庁は「猛暑が続く中、今年は海で遊ぶ人が増えているため事故が多発している」としてチラシを配るなどして注意喚起。遊具に乗っている人が転倒していないかを操縦者に知らせる「見張り役」をボートに乗せることや、旋回時は速度を落とすことなどを促している。
同庁は今年4月、レジャーを安全に楽しむための注意事項を記した「ウォーターセーフティガイド」を公開。その水上オートバイ編にトーイング遊具の記載を加える方針。
水上オートバイの安全啓発などに取り組むNPO法人PW安全協会(兵庫県明石市)によると、トーイング遊具の事故は家族など個人で楽しんでいる際に起きるケースが多い。けん引する水上オートバイを運転するには免許が必要だが、トーイング遊具については使い方の講習を受ける機会はないという。
同協会事務局は「遊具がどんな動きをするかをつかむには慣れが必要。狭い場所では接触事故を起こす危険もあり、周囲をよく見ながら遊んでほしい」と話している。