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事実上の正常化策2.0(大機小機)

2018/8/3 16:10
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日銀は先日の金融政策決定会合で、YCC(イールドカーブ・コントロール)のもとで0%程度を目標値とする10年国債利回りの変動許容幅を拡大し、長期金利の上昇を容認することを決めた。国債市場の流動性低下への配慮との説明だ。変動幅は0%を中心に上下0.1%程度から上下0.2%程度へと拡大した。

黒田東彦総裁は「利回りの上昇自体は意図していない」と説明した。だが実際には、金融機関の収益悪化という金融緩和の副作用にも配慮し、利回り上昇を狙った「事実上の正常化策」であることは明らかだ。

物価目標達成が見えないなかでの正常化策はおかしい、との批判をかわす観点から「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」とした政策金利のフォワードガイダンスも新たに導入した。一連の措置を「枠組み強化」と称して前向き感を精いっぱい演出したのは、日銀の常とう手段である。

表面的には「追加緩和措置」と銘打ちながら、実際には事実上の正常化策の起点になった2016年9月と構図がよく似ている。その際には「正常化策ではない」との説明のもと、長期国債の買い入れ増加ペースをこっそりと縮小させる「ステルス・テーパリング」が始められた。今回の措置は「事実上の正常化策2.0」であり「ステルス利上げ」ともいえる。

半面、今回の決定は市場の力に押し切られたとの印象も強い。10年国債利回りが変動レンジの上限である0.1%を何度も上回り、3回にわたって指し値オペを実施しても、日銀は金利を十分にはコントロールできなかった。その結果、YCCは従来ほど安定した枠組みでなくなり、その信頼性が大きく低下してしまったのである。

日銀の今回の措置がYCCの安定性や持続性の回復に貢献するかどうかはもはや不確実だ。信頼性が低下している中で変動レンジの拡大を通じて10年国債利回りの上昇を容認したことは、さらなる上昇容認という観測を生みやすいだろう。特に海外で利回りが大きく上昇するような外的ショックがあると、日銀が新たな利回りの上限を守り切れないリスクがある。

今回の措置は、YCCという枠組みが崩壊していく過程の始まりといえるかもしれない。(神羊)

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