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フランスのW杯優勝で感じた「超越する力」
スポーツコメンテーター フローラン・ダバディ

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2018/8/5 6:30
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スポーツとは全く関係のないロケのためだったが、サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会決勝当日、僕はフランスにいた。結果はご存じの通り、フランスがクロアチアを破って20年ぶりの優勝。現地はお祭り騒ぎとなった。

新鮮だったのはサポーターの多彩な顔ぶれだ。フランスでも多かれ少なかれ高齢化が進んでいるが、パブリックビューイングなど公共の場には10代後半から30歳前後の若者が多くつめかけた。アジア系や北アフリカ系の移民も多く、まさに「人種のるつぼ」という感じ。以前は少なかった女性ファンもたくさんいた。僕がフランスを離れてからの約20年で、社会の多様化はこんなに進んだのだと実感させられた。

スポーツは社会の鏡

今回の優勝が盛大に祝福されたのは、ここに至る道筋とも無縁ではなかっただろう。代表チームは2016年の欧州選手権(ユーロ)で格下のポルトガルに決勝で敗れるなど苦杯をなめてきた。サッカーを離れても、近年のフランスではテロが多発している。15年には代表チームが試合をしていたパリ郊外サン・ドニのスタジアム付近を含む同時多発テロも起きた。その傷痕はいまも社会に深く残る。今回の戴冠は、つらい日々を過ごしてきたフランスが久々に手放しで喜べる機会だった。

改めてスポーツは社会の鏡だと感じる。社会はハリウッド映画のような善悪二元論では割り切れない。正義が勝つとは限らないし、結局はカネの力がモノをいうところもある。スポーツ界も例外ではない。7月に行われた世界最高峰の自転車ロードレース、ツール・ド・フランスにはスポーツ界をむしばむ陰の部分がちらついていた。主催者が大会前、ドーピング違反の疑いを理由にスター選手の出場を拒否した。最終的には出場が認められたが、疑いは残り、ファンからはブーイングが浴びせられた。

長年、テニスやロードレースの薬物問題に懐疑の目を向けてきた仏紙ルモンドには元選手のこんな証言が載っていた。「00年には8割の選手がドーピング違反を犯し、クリーンな選手は2割しかいなかった。いま、その比率は逆転した。しかし2割の違反者は8割のレースで勝利している」

小さなチームの選手の平均年俸が400万円程度なのに対し、強豪チームのエースたちは5000万~1億円を稼ぐ。その中には薬物違反を犯している者が少なからずいるということだ。

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