東大発スタートアップが仕掛けるプリント基板革命

2018/8/3 7:00
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電子機器の中で回路形成や配線を担うプリント基板の作り方を、スタートアップが劇的に変える可能性が出てきた。仕掛けるのは東京大学発のエレファンテック(東京・中央)。清水信哉社長は「大手企業や研究機関に先駆けて技術を確立した。製造業に革命を起こしたい」と意気込む。

インクジェット印刷で作ったフレキシブル基板を持つエレファンテックの清水信哉社長(東京・中央)

プリント基板には曲がらないタイプの「リジット基板」と曲がるタイプの「フレキシブル基板」がある。市場が拡大しているのは曲がるタイプ。スマートフォン(スマホ)など薄くて小型の情報端末向けには、柔軟な構造が求められるためだ。

エレファンテックの技術は、プリンターなどと同じインクジェット方式でフレキシブル基板を作るというもの。型を起こして回路を成型する従来方式に比べ製造工程が短く、必要な材料のみを回路の形状に印刷するため、廃材が少なく量産時に4割以上のコスト削減につながる。環境負荷が少なく、生産設備も小型で済み、都心での次世代型工場が実現できるという。

ただ、ボトルネックとなっていたのはフレキシブル基板そのものの素材だ。市場の99%はポリイミド樹脂なのだが、エレファンテックのインクジェット方式で対応できたのは1%の市場のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂だけだった。これでは試作品などの小さな需要しか取り込めない。

技術の深掘りに取り組んだ結果、このほどブレイクスルーを実現した。要となったのは町工場と共同開発した基板素材の表面の特殊加工技術と、回路印刷に使う特殊開発の銀インクなど。基板の表面加工の方法を改良し、銀インクの成分を見直すなどして、ポリイミドへの印刷を可能にしたという。

量産型素材に対応できるようになったことで、エレファンテックのインクジェット方式を採用する機運が製造業の間で高まりそうだ。ポリイミド樹脂は耐熱性が高いのが特色で、車載や医療機器など幅広い分野への活用が期待できる。

エレファンテックは2017年9月に産業革新機構などから5億円を調達している。ここ1年間の受注件数は約200件。新技術の実用化で月100件の開発案件受注を見込む。清水社長は「回路のインクジェット印刷技術は早ければ10年後には主流となるはず。世界をけん引する要素技術の開発企業としてアンテナや太陽電池など様々な分野に応用を広げる」と力を込める。(京塚環)

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