2019年6月25日(火)

連合外提携、LCCが背中押す 日航・中国東方が提携

2018/8/2 19:38
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日本航空と中国東方航空は2日、包括提携すると正式に発表した。異なる航空連合に加盟する両社が共同運航(コードシェア)に加え運航ダイヤや運賃の調整にも踏み込む。格安航空会社(LCC)や中東勢など航空連合に所属しない新興企業の台頭で航空業界の競争の構図は変わっている。既存の枠組みにとらわれない連携が広がってきた。

「今回の包括提携は世界的な流れに沿ったものだ。国際線や大部分の国内線、マイルなど全面的に協力していく」。中国東方航空の馬須倫総経理は上海の本社で開いた記者会見で満面の笑みを見せた。両国から独占禁止法適用除外(ATI)を取得するのを前提に、2019年度にも航空業界独特の提携スキーム「共同事業」を始める。

日航と中国東方航空はこれまでも共同運航で連携してきたが、共同事業化により協力度合いを大幅に深める。共同運航は相手の便の座席を一部、自社分として販売するが、収入はあくまでも運航会社のものだ。提携会社が得るのは手数料にとどまる。

一方、共同事業では他社の便を自社便のように取り扱うことができるのが特徴だ。収入は2社でいったん共有したうえで、一定割合で配分する。日航も中国東方航空もお互いの航空便を自社便のように販売することになるため、営業担当者は他社便も積極的に販売しキャンペーンなども実施して収益を最大化できる。

運航ダイヤも双方の事情を勘案して変更を検討する。利用客は中国国内で80都市以上、日本国内で50都市以上への航空券を一括で購入し移動しやすくなる。中国や日本の地方都市へ出向くビジネス客などの需要を取り込む。日航の植木義晴会長は「共同事業は一般的に当該路線の5%ほどの増収効果があると言われている」と話した。

連合の枠を超えた提携に踏み切った背景にはLCCの台頭がある。低コスト構造を武器にシェアを伸ばすLCCに価格勝負を挑めば収益悪化が避けられない。就航都市の多さや多様な運航ダイヤ、乗り継ぎのしやすさといった大手ならではの強みを伸ばす必要がある。

LCCや、アラブ首長国連邦のエミレーツ航空など既存の連合に所属しない航空会社の存在感は年々増している。LCCのシェアは東南アジアで6割、欧州も5割程度まで上昇している。

日本を含む北東アジア地域のLCCシェアは、国内線で10%、国際線で14%程度とされる。欧州などに比べるとまだ低いものの、じわりと存在感を高め始めている。特に日中間やアジア域内、欧州域内など比較的短距離の路線は機材が小さいLCCでも運航しやすく航空大手は競合しやすい。「新規参入者を過小評価してはいけないだろう。大手は迅速な対応が求められる」(欧州航空首脳)との声も出ている。

今回の提携は航空サービスの需要構造の変化も映す。世界一の人口を抱え経済水準も向上している中国は飛行機の利用が急増している。国際航空運送協会(IATA)は中国の航空旅客数が16年から36年にかけて9億2100万人増えて15億人になると予測する。訪日外国人の4分の1を中国人が占める日本への影響は大きい。

日航が加盟するワンワールドには香港のキャセイパシフィック航空を除き中国の航空会社はなく中国東方のスカイチームに日本勢はいない。既存の連合だけでは捉えられない需要開拓を進める。

航空連合の役割も変わってきた。スターアライアンスのジェフリー・ゴウ最高経営責任者(CEO)は「世界をつなぐ路線ネットワーク作りに注力する時代は終わった」と話す。欧米やアジアを結ぶ長距離の主要路線は既に張り巡らされている。焦点は中規模の都市同士を結ぶ中距離路線などに移ってきた。航空各社は既存の連合に上乗せする形で新たな提携関係の構築を急ぐ。

日航は3大連合に加盟しないハワイアン航空と共同事業を始める見通しのほか、メキシコ大手のアエロメヒコ航空やロシアのアエロフロートなどスカイチーム加盟企業との提携も決めている。スターアライアンスに加盟する全日本空輸もスカイチームのアリタリア航空やベトナム航空と提携している。環境変化への対応速度が競争力を左右しそうだ。(志賀優一、上海=張勇祥)

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