FABRIC TOKYO、採寸だけのスーツ店開業

2018/8/2 14:51
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オーダーメードスーツなどを扱うスタートアップのFABRIC TOKYO(東京・渋谷、森雄一郎社長)は3日、東京・表参道に生地を展示するだけの店舗を開く。来店客は採寸と生地を見るだけ。スマートフォン(スマホ)を使いネット通販サイトで購入すると商品が届く。ネットと店の連携で節約志向の強い消費者に新たな服の買い方を促そうと、ファッション業界で同様のサービスが広がり始めている。

FABRIC TOKYOはオーダースーツの生地を並べ「売らない店」を展開(東京・港)

2日、表参道店を報道陣に公開した。50平方メートルほどの店内に入ると、生地を並べた壁が広がる。最低価格は3万7000円から。購入初回は店で採寸をして体形データを登録する。表参道店では夏季限定として、夕方以降はクラフトビールを飲みながら採寸を受けられるイベントを開く。スマホ専用ページで採寸データを確認することができ、2回目以降はスマホで注文できる。

生地のサンプルは約350種類。気に入った生地があれば、生地のカードに記されたQRコード(2次元バーコード)をスマホで読み込み商品の詳細をスマホで確認できるほか、カードを自宅に持ち帰りゆっくり吟味できる。

同社は東京都内で7店舗を展開しているが、表参道店と同様に採寸だけを施す店は銀座店(東京・中央)に続く2店舗目。来店客の7割程度がオーダースーツを作った経験がない人で、9割以上がその場でスマホ決済しないが大半が購入につながっているという。森社長は「オーダースーツの敷居を下げたことが大きい」と強調する。

「その場で購入を決断しなければいけないという雰囲気がある」「気がついたら購入価格が高くなっていた」。オーダースーツではこうした印象を持つ消費者が少なくない。レジをなくし「買わなくてもいい」ということを店舗の雰囲気で押し出すことで、オーダー初心者にも人気を集めている。

ファッション業界では試着だけ、採寸だけを実店舗で提供し、購入手続きや決済をネット通販サイトに誘導するサービスが広がる。店側にとっては在庫を減らせるメリットがあり、客も商品の持ち帰りの手間が省ける。

さらに、衣料品通販サイト「ゾゾタウン」運営のスタートトゥデイが手掛けるプライベートブランド(PB)のビジネススーツのように、店舗さえ持たないサービスも広がる。だが、FABRIC TOKYOの森社長は「サイズや素材の確認、店舗での体験など、ファッションが完全にネットだけになることはありえない」と強調する。2020年までに10万人の販売を目指す。

「売らない店」は靴にも広がる。デンマークの靴ブランド「エコー」の日本法人エコー・ジャパン(東京・渋谷)は3月、「手ぶらで帰宅」がコンセプトの店「エコー エチカフィット東京店」を開いた。店頭で試着し購入した商品は原則、千葉県の倉庫から直接自宅に配送される。

当初は、40平方メートルの小型店でも運営できることを目的にして同店は開発された。基本的には1つの商品・サイズで1つの在庫しか置かないため、在庫スペースも狭くて済む。客からは「持ち帰る必要がないので、仕事の合間でも買い物を楽しめる」との好意的な意見が多いという。

エコー・ジャパンは、エチカフィット東京店が軌道にのれば同様の店を増やす方針。駅ナカなど、手狭なスペースへの出店を進める考えだ。

百貨店やショッピングセンター(SC)などに出店を拡大してきたアパレル大手は、不採算店舗の整理を急いでいる。店舗で採寸・試着し、ネットで注文する「店舗のショールーム化」は、これまで課題となっていた店舗の在庫積み増しなどの解決策としても注目されそうだ。

(花井悠希、鈴木慶太)

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