フリマアプリ年752億円需要創出効果 メルカリ推計
フリマアプリ最大手のメルカリは2018年7月31日、フリマアプリが利用者の消費行動に与える影響についての調査結果を発表した。消費行動の変化から推計したところ、出品する商品の修理やクリーニング、配送といった周辺のサービスの需要創出効果は年間最大752億円に達することが明らかとなった。
全国の20~59歳のフリマアプリ利用者、男女1032人を対象にインターネットを使って調査を実施した。調査期間は18年7月6日から翌7日まで、男女比はおよそ半々という。慶應義塾大学大学院経営管理研究科の山本晶准教授が調査を監修した。
「フリマアプリを利用するようになって、利用頻度が増えたお店・サービスはありますか?」という問いに対して、全体の約7割が何かしらの影響を受けていたことが分かった。例えば、39.9%の利用者は商品発送のためにコンビニを使う頻度が増え、33.3%の利用者は梱包資材等を買うために100円均一ショップへ行く頻度が増えた。

アプリの利用前後で各種お店やサービスに支払う金額が変わったか調べると、衣類のクリーニングや修繕に伴う出費などが増加、各種出費を合計すると1人あたり年平均で4000円以上増加した。この結果と、調査で判明した20~50代のフリマアプリ利用者の数(推計1814万人)を基に、フリマアプリによる周辺の業界への経済効果を推計すると最大で752億円となった。

アプリ利用者の消費に対する意識にも変化があったという。「追々フリマアプリで出品することを考慮して、タグや付属品も保管するようになった」「店頭で商品を買う前にフリマアプリで価格を確認するようになった」などといった意見があった。「若者を中心に所有から利用へと意識が変わる傾向は続いている」(山本准教授)。

調査結果の発表に続き、メルカリの小泉文明社長、調査を監修した山本晶准教授、カルチャーズスタディーズ研究所に所属する社会デザイン研究者の三浦展氏、靴などの修理店「ミスターミニット」を展開するミニット・アジア・パシフィックの迫俊亮社長によるパネルディスカッションを実施した。
迫社長は「この1年で商品の修理で訪ねてくる客が増えた」と話す。フリマアプリで出品する前に商品を綺麗にしたり、修理を前提に中古品を買ったりすることは、ものを大切にする日本の文化とも相性がいいという。中古品などの2次流通が活発になることで1次流通を圧迫しないかという指摘に対しては、「大量生産で安く売るようなスタイルには影響が出るかもしれない。しかしフリマアプリで買って試したうえで、納得したら新品を買うなど1次流通を後押しする要素もある」(山本准教授)と話した。
(日経 xTECH/日経コンピュータ 増田圭祐)
[日経 xTECH 2018年7月31日掲載]
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