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豊島逸夫の金のつぶやき

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日銀に屈したヘッジファンド

2018/8/1 10:54
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日本の国債市場が機能不全に陥り、ニューヨークのヘッジファンドは代替として米国債市場で日銀金融政策に関する思惑売買を繰り広げていた。「日銀の出口近し」との判断から、米国10年債の記録的空売りポジションを積み上げていた。その規模はCFTC(米国商品先物取引委員会)が毎週末発表する先物売買データで検証できる。7月24日発表のデータではロング(買い持ち)が約53万件、ショート(売り持ち)が約103万件、ネットで約50万件とされる(1件あたり10万ドル)。

その結果、日本10年国債の利回りが0.1%を突破した時点で、米国10年債利回りが2.99%と3%近くまで急騰する局面もあった。当時の相場記事を読み返すと「ウォール街は日銀金融政策決定待ちで、米10年債利回りはこの1カ月で最高水準の2.99%をつけ、3%台に迫っている」などと書かれている。

しかし、ヘッジファンドの苦々しげな言い回しを引用すれば、日銀会合での結果が「長期金利をいじるだけの微調整」に終わり、彼らのもくろみは外れた。

米国10年債利回りも30日(現地時間)の取引終了時点の2.98%近くから急落し、31日は2.96%で引けた。ヘッジファンドの当惑ぶりがうかがえる。

ヘッジファンドには日本国債の空売りを仕掛けて失敗を繰り返した苦い経験がある。日本国債トレードは「ウィドウ・メーカー(寡婦製造)トレード」などと呼ばれたものだ。「もう日本国債にはこりごり」と今回大損したヘッジファンドの関係者はぼやく。教訓として「日銀には逆らうな」が合言葉になりそうだ。

一方、米国の株式市場では、長期金利変動幅が拡大しても日銀の緩和継続を歓迎する姿勢だ。

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はタカ派的との見方も根強く、「パウエル・プット」は期待できそうにない。FRBの量的緩和(QE)から量的引き締め(QT)への転換は意図せざる経済ショックの可能性をはらむ。そこで、FRBが市場から引きあげる流動性を、日銀が補ってくれる、との期待感が漂う。ミスタークロダのおかげで流動性相場も持続できそう、との期待が感じられる。

黒田総裁が記者会見で2019年10月の消費増税をリスク要因の具体例として挙げたので、日銀緩和は2020年まで続くか、との質問もあった。FRBと欧州中央銀行(ECB)が量的緩和終了・縮小に動くなかで、日本が過剰流動性の輸出国になっていることを改めて実感した。

外為市場では円安が進んでいる。ドル・ユーロは大きく動かず、対円でのドル高が突出している。今回ばかりはほぼ同時開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)は影が薄く、日銀効果でドル高・円安が進行中だ。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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