2019年5月26日(日)

世界各地で酷暑、高まる危険(The Economist)

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2018/8/1 2:00
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■深刻なのは湿球温度の上昇、死者も増える

だが、こうした研究結果が示す未来は明るくない。メルボルン大学のアンドリュー・キング氏らが6月に発表した研究は、1880年代からの1度の気温上昇に加え、さらに約0.5度上昇した場合、欧州各地で最高気温の更新を経験する人は、現在の4500万人から9000万人に倍増するという。もし0.5度ではなく1度上昇すればその数は、1億6300万人に増えるという。

ここに湿度という要因を加えて分析した研究結果を目にすると、不安はさらに高まる。人間は、汗をかくことで熱に耐えることができる。汗が蒸発することで肌を冷やすからだ。だからカラッとした気候の50度の方が、蒸し暑い30度よりも不快感は低い。湿球温度(湿ったタオルで包んだ温度計で測定された温度)が35度を超えると、日陰で扇風機の隣に裸で横たわっている健康な若者でも、6時間以内に死亡する可能性がある。

今のところ、湿球温度が31度を超えることはめったにない。ロヨラ・メリーマウント大学のジェレミー・パル氏とマサチューセッツ工科大学のエルファティ・エルタヒール氏は16年、二酸化炭素の排出量を削減できなければ、アブダビやドバイなど一部のペルシャ湾の都市では、今世紀末までに湿球温度が35度を超える可能性があると予測した。これに関連した別の研究では、2100年までに南アジアの一部でも、25年に1度は湿球温度が34.2度に達する可能性があるという。それらの国々は、アブダビなどの首長国よりもはるかに人口が多くて貧しい。

■気候変動そのものを阻止する対策が重要

こうした気候の変化は破滅的な影響を招く危険性がある。世界銀行によると、インドでは気温上昇とモンスーンの変化で、50年までに1人当たり国内総生産(GDP)の2.8%が失われ、特に「ホットスポット」とされる地域に住む6億人の生活水準に影響する可能性があるという。暑さによる生産性低下のコストは、30年までに世界で2兆ドル(約222兆円)に達すると推測されている。

気温上昇に伴う死者数がどれほど増えるかは想像もつなかい。だが、私たちは少なくとも過去の過ちから学ぶことはできる。欧州は12年に03年を上回る酷暑に見舞われたが、政府が高齢者への対応などを改善したことから犠牲者数を抑えることができた。インド人は、豊かになるにつれエアコンを設置できる余裕ができるし、スラム街の住民でも、太陽光を反射させるためにトタン屋根を白く塗ることはできる。

ただ、欧州の熱波から対策を学んだように、そもそも気候変動そのものを阻止することの重要性を世界が学び、対策を打てたらと願うばかりだ。

(c)2018 The Economist Newspaper Limited. Jul. 28, 2018 all rights reserved.

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