2018年9月19日(水)

プルトニウム削減へ新指針 原子力委、15年ぶり改定

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科学&新技術
2018/7/31 14:44
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 国際社会で懸念が強まる日本の余剰プルトニウムについて国の原子力委員会は31日、削減に向けた新指針をまとめた。これまでの「利用目的のないプルトニウムは持たない」とする指針を改定し「保有量を減少させる」と削減を初めて明記した。同日中にも国際原子力機関(IAEA)に報告する。

 原子力委が指針を改定するのは15年ぶり。原子力委の岡芳明委員長は「(削減を)具体的な形で提示するのは国際社会への説明責任としても非常に有意義なことだ」と強調した。

 削減の具体策として新指針では、増加を防ぐため、原発で消費するメドが立たないプルトニウムは2021年完成予定の青森県六ケ所村の再処理施設で製造しないとする方針を盛り込んだ。当初は、米国が保有量の上限制(キャップ制)の導入を求めたため検討したが、具体的な上限の数量を盛り込むことは見送り、消費できないプルトニウムは製造を制限する方針とした。

 さらにプルトニウムを原発で消費する「プルサーマル」の推進に向けて電力会社間の連携を促すことを打ち出した。東京電力ホールディングス中部電力は所有する原発が再稼働する見込みが立たない。そのためプルトニウムを再稼働が進む西日本の電力会社に有償で譲渡し、原発の燃料として消費することを電力会社に要請する。

 電力会社や研究用のプルトニウムを持つ文部科学省所管の日本原子力研究開発機構(JAEA)に対して毎年度、どの程度のプルトニウムを消費するかを示した利用計画を公表することも義務付けた。またJAEAにも不要になった研究用のプルトニウムは廃棄を含めた処分の検討を求めた。

 日本の原子力政策は核燃料サイクルと呼ばれる使用済み核燃料からプルトニウムやウランを取り出して再処理し、再び原発の燃料として使用することを柱としている。しかしプルトニウムは核兵器にも転用可能なため、核不拡散の観点からその製造にはさまざまな制約が課される。

 米国は日本がプルトニウムを核兵器には使用せずに、あくまでも発電など平和的な利用に限ることを条件にプルトニウムの回収を認めている。

 しかし東京電力福島第1原発の事故後、英仏で再処理したプルトニウムが燃料として消費できず在庫が増えた。

 日本が国内外に持つプルトニウムは約47トン。原爆約6千発分に上る。そのため米国は余ったプルトニウムの削減を今春以降、日本に強く要求していた。原子力委も今回の改定の背景に「米国など国際社会の懸念が増大している」(林孝浩内閣府参事官)と語る。

 一方、原子力委が31日に発表した17年末時点のプルトニウムは47.3トンで16年末時点より0.4トン増加した。英国に既に運んでいた使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを回収したため。原発の再稼働が進まず、消費が進まない現状が改めて浮き彫りになった。

 原子力委は当初、6月中に新指針をまとめる予定だった。だが原発立地自治体への配慮などから経済産業省や電力会社がプルトニウムの融通を指針に盛り込むことに難色を示したことなどから7月にずれこんだ。

(塙和也、田島如生)

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