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異例の西武進撃支える森 超攻撃的野球の要
編集委員 篠山正幸

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2018/8/7 6:30
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パ・リーグ首位の西武が異例の進撃を続けている。通常はチーム防御率の順番に順位も決まってくるものだが、西武の防御率はリーグ最低の4.46。失点を補って余りある超攻撃的野球の要となるのが、5年目で正捕手の座を射止めつつある森友哉(22)だ。(記録は6日現在)

2016年のシーズン終了後、古巣で指揮を執ることになった辻発彦監督に聞いたのを記憶している。「森を捕手で起用するのか」と。

監督は即答しなかった。じっくりみてから考える、とのことだった。

辻監督らが活躍した西武の黄金時代は清原和博、オレステス・デストラーデらの強力打線もさることながら、投手を中心とした盤石の守りが土台となっていた。

その守りの要であった辻監督のことだから、守備重視でチームをつくるはず、と思い込んだのが浅はかだった。

思えば、森の起用法を尋ねたときに、捕手でなく、それまでしばしば起用されていた外野手、と即答しなかった時点で、ピンとこなくてはいけなかったのだろう。

今季、森は大きな故障もなく、見事に開花しつつある=共同

今季、森は大きな故障もなく、見事に開花しつつある=共同

大阪桐蔭高2年時に1学年上の藤浪晋太郎(現阪神)とバッテリーを組み、全国大会春夏連覇を果たした森は13年のドラフト1位で西武に入団した。捕手としての評価も高かったが、バットを振り切れる打撃も得がたい才能とされ、常に野手転向の観測があった。

老け込むにはまだ早い日本代表捕手、炭谷銀仁朗という壁も、簡単に打ち破れるとは思われなかった。

実際、入団以来捕手として守備につくことは多くなく、ルーキーイヤーの14年は24試合でマスクをかぶったものの、15年は捕手としての出場はなし。捕手としての出場は16年も26試合、17年も12試合にとどまった。外野かDHが基本的な出場パターンだった。

17年は故障もあったために、出場自体が入団以来最低の38試合に終わった。

森の捕手起用は「構想」の鍵か

選手としての将来がかかった今季、森は大きな故障もなく、見事に開花しつつある。それは辻監督が、心中あたためていたであろう構想を実現するものでもあった。

辻監督1年目の昨季、菊池雄星が16勝で初のタイトルを獲得したものの、岸孝之が楽天に移籍した穴が埋まらずじまい。投手陣の層は薄く、かつての守りから入る野球はとてもできそうになかった。

今年春のキャンプの時点でも、先発のローテーションについて「菊池の次の名前が出てこない」(辻監督)という状態。そんな現状を見つめたとき、監督は腹をくくったに違いない。多少の失点は覚悟し、5点取られたら6点取り返す野球をするしかない……。

森の捕手起用はその構想の鍵となるものだったのではないか。

古田敦也(ヤクルト)や城島健司(ダイエー=現ソフトバンク)ら中軸を打てる捕手もまれにいるが、守備の負担が重いポジションで、打撃は二の次となりがち。

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