アイデア生む未来のオフィス ダイキン、異業種5社と実証実験

ダイキン工業は30日、ソフトバンクや三井物産など5社と連携し、生産性を高めるオフィスの実証実験を2018年内に東京都内で始めると発表した。天井のエアコンやオフィス家具にセンサーを取り付けて、人のストレス状態や興味関心の度合いを分析する。働き方改革が課題となるなか、コミュニケーションを活発にし、新たなアイデアを生むオフィス環境を提案する。それぞれの強みを持ち寄り、新たなサービスを生み出す。
実証実験には3社のほか、オフィス家具のオカムラ、保険大手の東京海上日動火災保険、ヘルスケアに強いライオンが参加。都内2カ所で2年間実施する。具体的な内容はこれから詰める。ダイキンの米田裕二執行役員は「業界の垣根を越え、専門領域を掛け合わせて課題を解決する」と強調した。実際に事業化する際は三井物産が関連会社500社への導入を検討する。
エアコンは天井にあり、オフィス全体を見渡しやすい。Wi-Fi機能やカメラ、センサーを取り付けて、室温や明るさ、人の動きといったデータを収集する。あらゆるモノがネットにつながるIoTのハブとしてエアコンを活用する。
オフィスのイスには心拍数などを測るセンサーを搭載し、ストレス状態や座っている時間を分析。ソフトバンクの技術を活用し、商談中の人の表情の変化から興味関心の度合いを可視化する。
こうしたデータを掛け合わせて、ストレスを緩和したり、コミュニケーションが活発になったりするような空調や照明の制御、オフィス家具の配置を研究する。東京海上日動はヘルスケアのデータを分析し、新たな保険商品の開発を進める。
ダイキン製の業務用エアコンは国内で60万~70万台が稼働している。今年2月から湿度や温度など空調から得られるデータを外部企業に公開し、新サービス開発の協力企業を募っていた。今回が第1弾だ。今後も不動産大手など協力企業を増やしていく。
ダイキンは今月25日にはNECと共同で人工知能(AI)を活用して居眠りを防ぐ空調管理システムも発表した。小型カメラでまぶたの動きを分析し、眠そうなら冷気を送り目覚めさせる仕組みだ。AIやヘルスケアなど手薄な部分を外部との連携で補う戦略だ。米国の競合に比べ出遅れているソリューション事業を強化する。
(大阪経済部 伊藤大輔)