2019年8月22日(木)

iPSでパーキンソン病治療、まず運動障害から

2018/7/30 12:00
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京都大学はiPS細胞をもとに神経細胞をつくり、パーキンソン病患者に移植する医師主導臨床試験(治験)を近く始める。国に届け出ていた臨床計画が了承された。研究チームの高橋淳京大教授らが30日午後3時から記者会見する。効果が確認できて実用化されれば患者の選択肢は増える。根治への道はまだ遠いが、今回の治験で運動障害を改善する効果を探る。

パーキンソン病は脳で神経伝達物質のドーパミンを分泌する神経細胞が失われる難病。体が震えたり筋肉がこわばったりする。病気が進行すると、認知機能の低下がみられる。症状を和らげる飲み薬などの治療では神経細胞の減少を止められず、根本的な治療法はない。

治験では、CiRAが健康な人の細胞から作製し備蓄するiPS細胞を活用する。ドーパミンを分泌する神経細胞を作製して約500万個を患者の脳に移植し、失われた機能を補う。移植した細胞の一部が脳に定着し、症状が改善して飲み薬の効果も高まると期待する。治験が成功すれば大日本住友製薬が開発を引き継ぎ、治療法の実用化を目指す計画だ。

高橋教授らはこれまでに、動物実験で効果や安全性を確認してきた。人のiPS細胞から作った神経細胞をパーキンソン病のサルに移植。移植後1年間観察すると、徐々に手足の震えなどの症状が軽減する効果がみられた。2年たっても腫瘍はみられず、有効性や安全性に問題ないと確認できた。

細胞移植を目指す研究は海外では試みがあった。妊娠中絶した胎児の細胞を使うことなどから、主に倫理面の課題から普及していなかった。iPS細胞を使えばこの問題を回避できる。さらに、神経細胞を移植できるため、減り続ける神経細胞の数を維持し、症状を回復できる効果が期待される。

ただ今回の治験で期待できる効果は、運動機能の回復にとどまる。パーキンソン病では認知機能障害が出る患者もいるが、その改善は期待できないという指摘がある。ドーパミンを出す神経細胞を移植するだけでなく、ほかの治療法との併用など、根治に向けては今後様々な選択肢を検討する必要がありそうだ。

(岩井淳哉、猪俣里美)

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