2019年5月22日(水)

カンボジア総選挙、与党「圧勝」 投票率80%超

2018/7/29 18:04 (2018/7/29 23:19更新)
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【プノンペン=富山篤】カンボジアで29日、国民議会(下院、定数125議席)の総選挙が投開票された。フン・セン首相のカンボジア人民党(CPP)は最大野党だったカンボジア救国党(CNRP)を解散させ、有力な野党がほぼ皆無。人民党広報担当が「90議席以上を獲得」との見方を示した。圧勝は確実だ。

投票のボイコットが増える可能性が指摘されたが、国家選挙委員会は投票率が82.17%に達したと発表した。事実なら2013年の前回総選挙の約70%を大幅に上回る。

フン・セン氏の事実上の独裁体制が一段と強まることになった。中国への傾斜が強まることは確実だ。政治、経済の両面でカンボジアとの関係を強めたい日本の立ち位置は難しくなりそうだ。

人民党を含む20党が全国25選挙区の比例代表制で争った。投票は同日午後3時(日本時間同5時)まで。即日開票された。人民党広報担当のソック・エイサン氏は日本経済新聞に、同党の獲得議席数が独自集計で前回総選挙で得た68議席を上回る90議席以上に達するとの見方を明らかにした。

投票所を訪れて投票者のリストが書かれた名簿をみる有権者(29日午前、カンダル州)=小高顕撮影

投票所を訪れて投票者のリストが書かれた名簿をみる有権者(29日午前、カンダル州)=小高顕撮影

政権は総選挙の正当性を示すため有権者に投票を呼びかけた。選挙委は有権者の二重登録の排除を進め、登録された有権者数の大幅減が投票率を押し上げたもようだ。「人民党による(投票を促す)組織的で脅迫的な圧力があった」(人権団体、ヒューマンライツ・ウオッチのアジア担当のフィル・ロバートソン副部長)との見方もある。

約300万人いたとされる救国党の支持者は同党の解散で投票先を失った。海外に逃亡したサム・レンシー元党首は交流サイト(SNS)で支持者に投票ボイコットを呼びかけてきた。前回の総選挙で2%以下だった無効票が大幅に増える可能性は指摘されている。

サム・レンシー氏は投票終了後、「救国党が不在で、国民は正しい選択をすることができなかった」との声明を出した。

フン・セン氏は17年11月、13年の総選挙で55議席を獲得し人民党に肉薄した当時の最大野党、救国党を解散に追い込んだ。党首だったケム・ソカ氏が国家転覆を企てたという理由だ。救国党は17年6月の地方選でも大きな勝利を収め、与党が危機感を強めたもようだ。

カンボジアの総選挙で投票終えたフン・セン氏(29日午前、カンダル州)=小高顕撮影

カンボジアの総選挙で投票終えたフン・セン氏(29日午前、カンダル州)=小高顕撮影

今年で首相就任33年のフン・セン氏を巡っては権力の独占、賄賂・汚職の横行などで国民の不満が高まっている。一方、カンボジアは中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」で戦略上、重要な位置にある。フン・セン氏は中国から投資資金を呼び込み、国際社会でも発言力を高めてきた。

米国、欧州連合(EU)などは独裁色を強めるフン・セン政権への批判を強める。だがフン・セン氏は意に介さない。中国など友好国から選挙監視員を受け入れ、総選挙の結果に「お墨付き」を得る狙い。日本政府は派遣を見送った。

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