豪補選、5選挙区で野党が全勝
ターンブル政権、次期総選挙に向け痛手

2018/7/29 17:40
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【シドニー=松本史】オーストラリアで28日に投開票された下院補欠選挙は、5つの小選挙区のすべてで野党が議席を確保した。このうち与野党が争った3選挙区のすべてで連立与党の保守連合(自由党、国民党)が敗北した。いずれも補選前から野党の議席だったが、2019年5月までに実施される総選挙を前に、ターンブル首相にとっては大きな打撃になったと受け止められている。

「有権者の反応を深刻かつ謙虚に受け止める」。29日、補選結果を受け記者会見したターンブル首相は疲労をにじませた表情でこう語った。

今回の補選は二重国籍問題による辞職などに伴い5議席を争った。歴史的に豪州の補選で、与党が勝利することはまれとされる。そのため保守連合は最大野党・労働党が強い2つの選挙区で候補者擁立を見送り、残る3議席の獲得に力を入れた。ターンブル氏も頻繁に選挙区入りしていた。

与野党が争った3選挙区のうち、保守連合が最も落胆したのはクイーンズランド州ロングマンでの敗北。ここは過去4回の下院選で保守連合が2回、労働党が2回勝利した激戦区。事前の世論調査でも接戦が予想されていた。だが、開票率81%で労働党候補の得票率が保守連合候補を10ポイント近く上回った。タスマニア州では過去4回の選挙で労働党が3勝、南オーストラリア州では保守連合の苦戦が伝えられていた。

補選の5選挙区で勝利したのは南オーストラリア州が中道連合。ほかの4選挙区は労働党。

豪州では経済拡大が長期化しているが、保守連合に対する有権者の支持は伸び悩んでいる。人口の集中などで都市部の住宅価格が上がり、地方には経済成長の利益が十分に行き渡っていないためだ。調査会社ニューズポール社と豪オーストラリアン紙によると、保守連合は16年9月以降18年7月半ばまで、36回連続で支持率が最大野党の労働党を下回った。

ターンブル氏は補選を態勢立て直しの機会とし、減税や雇用確保、移民抑制の実績を強調してきた。一方、労働党は福祉充実を訴え、保守連合の法人減税が「大企業を利する」と批判。シドニー、メルボルンなど大都市に比べ経済成長の恩恵が少ない地方部の有権者の取り込みに成功した。

「今回の敗北から学ぶべきだ」。保守連合の幹部の一人は豪AAP通信に政策や選挙運動の見直しが必要だと話す。ターンブル氏は、与党内でアボット前首相らとの不和も指摘される。今回の敗北が今後の政権運営に影を落とす可能性もある。

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