2019年2月17日(日)

印アルミ、米で生産拡大 世界首位ヒンダルコが6位買収
保護主義のリスク回避

2018/7/27 20:30
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インド企業が米国で存在感を高めている。アルミ圧延世界最大手の印ヒンダルコ・インダストリーズは米同業アレリスの買収を決定。軽量化の必要性が強まる自動車向けなどの生産能力を拡大する。中国企業による買収が米当局の差し止め勧告で頓挫した結果、巡ってきた機会をつかんだ。印鉄鋼大手も米国で増産投資を決め、インド企業が米国の保護主義に機敏に対応する姿が目立つ。

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「新しい顧客、新しい商品構成、より付加価値の高い製品を得て、ヒンダルコは躍進できる」。アレリス買収を発表した26日、ヒンダルコのクマール・マンガラム・ビルラ会長はこう強調した。成長が期待できる自動車や建築向けに顧客の増加や生産拡大が見込めるほか、航空分野への参入も狙う。買収額は約26億ドル(2800億円)。

ヒンダルコは2007年、世界最大手だった米ノベリスを60億ドルで買収し、業容を一気に拡大した。グループ生産能力(年370万トン)の9割を占めるノベリスの売り上げ構成はアルミ缶が61%、自動車が20%、特殊製品が19%。アレリスの買収で自動車が22%に高まり、ビルやトラック向け(8%)、航空機向け(4%)が加わる。

ヒンダルコ傘下の米ノベリスは世界に24カ所の工場を持つ(ブラジルの工場)=ロイター

ヒンダルコ傘下の米ノベリスは世界に24カ所の工場を持つ(ブラジルの工場)=ロイター

アレリスは米国を中心に世界に13カ所の生産拠点を持ち、生産能力は年100万トン。自動車向けで米国と欧州、航空機向けはドイツと中国に拠点を持ち、世界の航空機大手と取引する。アレリスの買収で全体の生産能力は年470万トンと現在より約3割高まり、2位以下を大きく引き離す。

今回の買収が合意に至った要因に、米国が中国企業に強い警戒感を抱き続けていることがある。

もともとアレリスは16年8月、中国忠旺控股の米国法人による買収に合意していた。だが同年11月、超党派の米議員が当時の米財務長官に対し、安全保障を理由に買収差し止めを求める書簡を送付。対米外国投資委員会(CFIUS)に同買収案件の調査を求めた。

CFIUSは審査の結果、買収の差し止めを勧告した。これを受けて両社は17年11月、買収の白紙化を決めた。

米国ではこれまでも自国企業に対する中国企業の買収を阻む動きが相次いだが、トランプ政権になって中国企業への警戒姿勢は一段と強まった。

一方、米印関係は足元で良好だ。アレリスの直接の買い手であるノベリスのスティーブ・フィッシャー社長は「当社は米国で長い歴史があり、雇用も生んできた。承認されない理由は考えられない」と自信を示す。

トランプ政権は3月に鉄鋼とアルミに追加関税を課す輸入制限を発動しており、米国での生産能力の拡大は関税コストの削減につながる。

印鉄鋼最大手JSWスチールも、輸入制限発動後に米2州で合計1100億円規模の投資を決めた。米テキサス州では既存設備を増強し、新工場の建設も視野に入れる。

印自動車大手のマヒンドラ・アンド・マヒンドラは17年11月に米ミシガン州に車の組み立て工場を新設した。保護主義への傾斜が止まらない米国で、インド企業の決断の速さが際立っている。

(ムンバイ=早川麗、東京=大西智也、ニューヨーク=西邨紘子)

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