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好調の中国需要どこまで、建機大手に残るトラウマ

コマツ日立建機は27日までに2018年4~6月期の連結決算を発表し、ともに4~6月期の売上高が過去最高を更新した。住宅やインフラ投資、鉱山開発に欠かせない油圧ショベルやダンプトラックの海外需要は好調だ。ただ、かつて中国の需要急減で業績が急降下した過去が影を落とし、先行きの見通しには慎重な見方を崩していない。

建機大手2社はむしろ中国事業の構成比を落としてきた(中国で稼働するコマツの油圧ショベル)

コマツが27日に発表した18年4~6月期の連結決算は売上高が前年同期比15%増の6460億円、営業利益が86%増の960億円だった。日立建機も売上高は14%増の2402億円、営業利益は65%増の275億円と急増した。そろって過去最高を更新した大手2社だったが、19年3月期の通期見通しは仲良く従来予想を据え置いている。

品質や耐久性に定評のある日本メーカーの建機は世界中で引く手あまただ。17年に環境規制に伴う駆け込み購入が膨らんだ日本などを除き、住宅やインフラの建設需要から油圧ショベルなどの需要は世界的に高まった。資源価格の上昇で低迷していた鉱山機械も回復し、利益率が比較的高い鉱山向けサービスの盛り上がりも業績を支える。

建機の一大市場となった中国でも、4~6月のコマツと日立建機の売上高は2~3割増と高い伸びを見せた。それでも両社の株価は6月以降に調整局面が目立つ。懸念の一つが先行き不安。国内総生産(GDP)などの成長鈍化で建機需要が伸び悩む観測は尽きない。

「中国の固定資産投資は伸びが鈍化している。今後も注意深く見ていきたい」(コマツの今吉琢也執行役員)。同社の建機の遠隔監視システム「KOMTRAX(コムトラックス)」によると、中国の油圧ショベル1台あたりの月間平均稼働時間は6月まで5カ月連続でマイナスとなった。「環境規制の強化で減速がみられた」(日立建機)側面もあったようだ。

コマツや日立建機など建機大手にとって、中国市場は悩みの種でもある。10年度には年間10万台を超える建機需要があったが、15年度には2万台を割り込む水準まで需要が急落。ジェットコースターのような浮き沈みに翻弄され、工場や人員などのリストラに追われた過去がトラウマとして鮮明に残る。

日本メーカーが需要回復期に中国でのシェア拡大に走らなかったのも過去の教訓からだ。各社はむしろ、中国販売の構成比をそぎ落としてきた。コマツの建機事業では10年度の21%から17年度には7%に、日立建機は同27%から13%に落としており、製造や販売などで地域分散を進める。

建機は景気の先行指標の代表銘柄でもある。「もはや中国銘柄と見なされるのは痛しかゆし」(建機産業関係者)というぼやきも聞こえるが、存在感を高めた中国の動向は軽視できない。米中の貿易戦争や個人消費の低迷、政府による景気刺激策――。刻々と変化する中国情勢を見極め、臨機応変な対応が求められる局面が続きそうだ。

(企業報道部 牛山知也)

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