2018年11月21日(水)

ヤフー川辺新体制、減益の船出 通販に活路

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2018/7/27 19:05
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ヤフーが27日発表した、2018年4~6月期の連結決算(国際会計基準)は営業利益が前年同期比9%減の475億円だった。6月に就任した川辺健太郎社長にとって厳しい船出となった。事業の柱の電子商取引(EC)は楽天などに水をあけられ、メルカリなど新興勢も台頭。日本のネット業界のかつてのスターもいつの間にか低成長企業になり、川辺氏が頼ったのはソフトバンクのグループ力だった。

記者会見する川辺社長(27日、東京都千代田区)

記者会見する川辺社長(27日、東京都千代田区)

売上高にあたる売上収益は9%増の2318億円だった。メディア事業でスマートフォン(スマホ)上の動画広告などが伸びた。「ヤフーショッピング」や子会社アスクルの通販も伸びた。ネットオークション「ヤフオク!」の取扱高は0.6%増にとどまった。

純利益は前年同期比9%減の326億円だった。通販の利用者に付与するポイントの拡大など販売促進費が膨らんだ。スマホ決済事業への参入にかかる費用も負担となった。スマホ決済を秋に本格展開するため、「下期により多く投資する」(川辺社長)。

川辺新体制が注力するのはECだ。ヤフーはヤフーニュースなどメディア事業の広告収入と、ECやオークションアプリなどのコマース事業の二本柱からなる。EC取扱高は右肩上がりで伸びてはいるものの、国内ネット通販の流通総額は2兆1000億円。3兆4000億円超の楽天との差は大きい。

アマゾンの急成長に加え、フリーマーケットアプリのメルカリもヤフオクのお株を奪う。インターネット初期からネット関連ビジネスを手掛けるヤフーだが、出遅れ感は否めない。

そこで川辺氏は兄弟会社であるソフトバンクとのつながりを深める戦略に出た。6月にはスマホ決済の折半出資会社ペイペイを設立。7月にはソフトバンクから2000億円の出資を受け入れると発表した。ソフトバンク幹部は「各社が同じようなビジネスを手掛ける中、グループ一体で数の力で勝つ」と語る。

「新体制はデータを生かした事業をする」。こう語る川辺氏が肝煎りで始めたのがスマホ決済だ。今秋にペイペイがQR決済を始める。ソフトバンクの営業網を活用して全国規模で加盟店開拓を進める。ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資するインドの決済最大手Paytm(ペイティーエム)とも提携する。

ペイティーエムは利用者が3億人を超える。ここで集めた購買データを人工知能(AI)で分析し、効率的な販促に生かしている。スマホ決済でヤフーは楽天の後発だが、こうしたノウハウを移植して差別化。購買データを集め、それを基に利用者をECのほか、金融など新ビジネスに呼び込むのが川辺氏の描くシナリオだ。

グループのファンドは、10兆円規模で世界の成長企業に投資している。日本にはない投資先のサービスを輸入できるのがグループの強みだ。QR決済の加盟店の普及も、当面ソフトバンクの営業力に頼る。

孫正義会長兼社長が提唱する「群戦略」は、持ち株会社にぶらさがる事業会社が独自に成長を達成して相乗効果を呼ぶ、というもの。ヤフーへの出資比率を5割未満に抑えたのもそのためだ。

「独自色を出すより日本でナンバーワンになることが大事。ヤフーにしかつくれない未来を実行していく」と語る川辺氏。ECを成長させてグループ内で存在感を発揮できるか。業績の拡大とともに新体制の課題といえる。(成瀬美和、佐竹実)

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