トランプ米政権、同盟国トルコに強硬姿勢 国内保守派の支持狙う
秋の中間選挙に向け
【ワシントン=中村亮】トランプ米政権が米国人牧師の自宅軟禁からの解放を求めトルコに圧力を強めている。11月の米議会中間選挙を控え政治基盤のキリスト教福音派の支持を固める狙いだ。トランプ大統領は外国で拘束される米国人の解放を外交成果と訴えており、制裁も辞さない構えでトルコに譲歩を迫る。
「トランプ大統領に代わって話そう。解放するか当然の帰結に備えるかどちらかだ」。ペンス米副大統領は26日の講演で、制裁発動もちらつかせ、トルコで軟禁されているアンドルー・ブランソン氏の解放を求めた。
ブランソン氏は2016年7月、トルコでクーデター未遂事件に関与した罪で拘束された。25日に釈放され自宅軟禁とされたがペンス氏は「まだ自由でない」と不満を表明。トランプ氏もツイッターで早期に解放しなければ「大規模な制裁」を科すと強くけん制した。
トルコは反発。同国のカルン大統領府報道官は26日に「脅しに近い言葉は到底容認できない」とトランプ政権を批判。対トルコ制裁も辞さない米国の方針は「同盟関係を損なう」と訴えた。米国とトルコは北大西洋条約機構(NATO)に参加しており有事の際は集団防衛の義務を負う。米国がNATO加盟国に制裁を科せば、異例だ。
トランプ氏はキリスト教福音派に配慮する。米メディアによると、ブランソン氏は同派だ。
海外で拘束されていた米国人の解放はトランプ外交の目に見える成果となっている。6月の米朝首脳会談に先立ち、北朝鮮に拘束されていた米国人3人の解放を実現した。未明のワシントン到着にもかかわらず、トランプ氏が出迎えて外交の成果をアピールした。ベネズエラで拘束されていた米国人が解放された際も帰国当日にホワイトハウスに招いて祝った。