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球場が呼んでいる(田尾安志)

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リクエスト制度元年に思う「審判の権威」

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2018/7/29 6:30
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野球の打率はよくて3割そこそこだが、この数字は打撃の世界に限ったものではないようだ。日本野球機構によると、今季始まったリクエスト制度で、リプレー検証の末に審判の判定が覆ったケースは前半戦で約35%。ここでも成功率がおおよそ3割というのは面白い。

リクエスト制度がなかったころは、明らかに判定が誤っていると思っても、異を唱えたところで覆るはずもなく、最後は受け入れるしかなかった。審判の判定は絶対というのがスポーツ界の常識だが、その視力まで絶対的というわけではない。例えば、送球の到達より早くベースに触れたかどうかの判断に、走者は結構自信を持っている。「アウトだ」「いや、セーフです」という押し問答の末、最後は決まって審判の見解が優先されるのでは、もやもやが残る。そこで事実をありのままに映すビデオに裁定を委ねるのは悪いことではない。

リプレー検証、その試合後に誤審認める

ビデオ判定の先達に大相撲がある。行司の軍配に物言いがつくと、5人の勝負審判が土俵に上がって協議するが、その際、審判長が別室の担当者を通じ、ビデオ映像を参考に最終的に勝ち負けを判定しているという。2014年に導入した米大リーグにならって日本でも始まったリクエスト制度は、早々に大きな問題にぶち当たった。

問題となったオリックス―ソフトバンク戦で、中村晃の右翼ポール際への打球の判定を巡り集まる審判団。この後リクエストで2ランの判定となったが、試合後に誤審を認めた=共同

問題となったオリックス―ソフトバンク戦で、中村晃の右翼ポール際への打球の判定を巡り集まる審判団。この後リクエストで2ランの判定となったが、試合後に誤審を認めた=共同

6月22日のオリックス―ソフトバンク戦で、3-3の延長十回2死一塁からソフトバンクの中村晃が右翼ポール際に放った一打を巡ってひと悶着(もんちゃく)起きた。「ファウル」の判定にソフトバンク・工藤公康監督がリクエストし、リプレー検証の末に「本塁打」に。試合を決める勝ち越し2ランになったが、試合後に審判団が再度映像を見たところ、打球はポールの内側を通過していなかったと、誤審を認めたのだ。

試合中の検証では映像の再生方法に不備があり、本塁打に見えたということなのだが、判定以前に操作を誤ったとなると目も当てられない。ただ、本当の過ちは再び映像を見たことだ。再生方法が間違っていたのはオリックスには気の毒だが、試合での検証結果は最終的な結論。それを再び検証する必要はないわけで、様々な点でこの日の審判団には不手際があった。

大リーグはすべての球場の映像を見られるオペレーションセンターがあり、センターの担当者が映像を確認して審判に結果を伝えているという。大相撲も別室の担当者が映像を見て、審判長に結果を伝達する。これに対して、日本のプロ野球では判定を下した審判自身が映像を確認している。試合の進行を遅らせないよう気がせくなかで映像を見るとなれば、再生方法の間違いが起きてもやむを得ない気がする。ここも大リーグにならい、第三者が映像を検証する仕組みをつくってはどうか。そうなれば本当にフェアな判定になるはずだ。

判定を巡る思い出はいろいろある。中日時代の1984年、通算1000安打を内野安打でマークしたのだが、実は私のベース到達より送球の方が早く、タイミングはアウト。「アウトなのに1000安打か」と、せっかくの節目の記録も素直に喜べなかったことを覚えている。

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