2018年8月21日(火)

対立、一段の泥沼化も 辺野古埋め立て承認の撤回表明

九州・沖縄
社会
2018/7/27 11:30
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 沖縄県の翁長雄志知事が27日、米軍普天間基地(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、前知事による埋め立て承認を撤回する意向を正式表明した。工事を阻止する姿勢を改めて鮮明にした格好だが、国と県の法廷闘争が再燃するのは必至。泥沼化している対立がさらに深刻化する恐れもある。

米軍普天間基地の移設工事が進む沖縄県名護市辺野古の沿岸部(26日)=共同

 翁長知事はこの日、記者会見に先立って与党県議に撤回方針を説明。「全責任は自分にあるとの判断でやっていく」と伝えた。説明を受けた県議の一人は「辺野古阻止へ今後も闘うとの力強い決意を感じた」と記者団に述べた。

 翁長氏にとって、辺野古阻止に向けた2つの大きな権限が「取り消し」と「撤回」だった。だが取り消しを巡っては既に国との裁判に敗れ、手元に残るのは撤回のカードのみ。「これを使い切れば翁長氏は対抗手段がなくなる」との見方は翁長氏周辺でも強かった。

 翁長氏は今年に入り、自身が支持する候補が市長選で相次ぎ敗退。経済界の一部も離れつつあり、がんも公表した。「即時撤回」を求める移設反対派は、後手に回りがちな知事サイドにいらだちを募らせ、連日県庁に押しかけて廊下に座り込む場面もあった。

 撤回の効果をできるだけ高めるため、11月の知事選に近い時期まで撤回表明を“温存”する案もあった。だが翁長氏への逆風が強まる中、早期の撤回表明によって支持層をつなぎ留める戦略をとらざるを得なくなった側面もある。

 撤回すれば工事はいっったん止まるが、国は処分取り消しを求める訴訟を起こす構えで、県との法廷闘争に入る見通しだ。県側は前回の国との裁判で敗訴しており、県庁内には「今回も翁長氏の勝算は少ないのではないか」との見方もある。

 国側が撤回の執行停止を裁判所に申し立て、裁判所が認めれば、数週間といった比較的短い時間で工事が再開する可能性もある。ただその場合も正式な裁判が地裁から高裁、最高裁へと争われるのは確実で、法廷闘争が再び本格化する見通し。泥沼化する国と県の対立は先行きが見えず、膠着状態の打開のメドはたたないままだ。

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