2019年3月27日(水)

エーザイの認知症薬、実用化の壁なお高く

2018/7/26 19:00
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エーザイは開発中のアルツハイマー型認知症治療薬が臨床試験(治験)で認知機能の低下を抑える効果を確認した。世界の認知症患者は2050年に1億3000万人を超える。世界の競合他社が相次ぎ認知症薬開発で挫折する中、エーザイへの期待は大きい。だが今回は中間の治験結果。製品化できれば大型商品に育つ可能性はあるが、なお高い壁が予想される。

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「この薬が有効だとわかる非常にしっかりしたデータが出た」

26日、エーザイが都内で開いた説明会。津野昌紀上席執行役員が示したのは開発中のアルツハイマー型認知症治療薬「BAN2401(開発名)」の第2相治験の結果だ。米シカゴで開催中のアルツハイマー病協会国際会議で発表した内容だ。

医薬品の開発では新薬候補を動物などを使って試験した後、人に対する治験を3段階で実施する。発表したのは、10年を超える開発手続きの中で中間に必要となる治験のデータだ。

今回の新薬候補は認知症の原因物質とされるタンパク質「アミロイドベータ(Aβ)」除去を狙う薬で、米バイオジェンと共同開発している。Aβを減らすと、従来の認知症薬では難しかった症状の進行を抑制できるとみられている。

中間の治験は約6年かけ日米欧などで856人を対象とした。プラセボ(偽薬)を投与した患者に比べ症状の進行を30%抑えた。エーザイ独自の評価指標のため単純比較はできないが、他社の新薬候補より効果が高い。今後、対象者を1000~2000人に増やした最終の治験に取り組むとみられる。

アルツハイマー病研究の第一人者、東京大学の岩坪威教授は「有望な結果だが最終の治験がカギになる」と指摘する。患者を増やし、より精緻な分析が必要な最終の治験で、製薬大手の多くが失敗してきたからだ。

18年2月には米メルクの「ベルベセスタット」が、6月には米イーライ・リリーと英アストラゼネカの「ラナベセスタット」が、中間治験より十分な効果を証明できなかったとしてそれぞれ最終の治験で開発をやめた。

26日、エーザイ株は一時前日比21%安の8825円まで急落した。治験結果の概要を発表した7月初旬に比べ依然3割高いものの、「さらに期待値を上げるには不透明感が残った」(ゴールドマン・サックス証券の植田晃然氏)。一方、「実用化の道筋が明らかになれば上昇余地は大きい」(国内証券)との声もあり、評価は分かれている。

エーザイは1997年に世界初のアルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」を発売。最大で年3000億円超を売ったが、特許切れで18年3月期の売上高は440億円に落ち込んだ。同期の連結売上高はピーク時の10年3月期から25%減の6001億円だった。

認知症新薬市場は世界で1兆円超とされ開発に成功すれば巨額の収益を手にできる。エーザイは再び世界に先んじるための正念場を迎えている。

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