LEDで海中の光を再現 京セラ、水槽のサンゴ育成

2018/7/26 17:05
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京セラは26日、海中の光を正確に再現できる発光ダイオード(LED)照明を開発したと発表した。水深によって異なる太陽光を忠実に再現し、水槽内のサンゴや水草の生育を助ける。8月中旬に水槽用の製品を発売し、年内に水族館用の大型製品を投入する。

京セラはLEDで水深ごとに異なる太陽光を再現した

サンゴや水草が生育する水槽にはメタルハライドランプや水銀灯が使われることが多い。ただし2020年には「水銀に関する水俣条約」が施行され、生産をやめる企業が出る見通し。LED照明への置き換えも一部で進むが、太陽光の波長を正確に再現できず、サンゴや水草がうまく育たない問題があった。

京セラは紫色のLEDチップと蛍光体で光をつくる独自技術を持つ。水深で太陽光の波長がどのように変わるか調べるためフィリピンの海に潜って調査し、赤や緑、青の蛍光体の配分を変えて海中の光を再現した。

一般的なLED照明は青や緑の光源を組み合わせるため、場所によって色ムラができる。これに対して京セラの新製品は1つの光源で太陽光に近い光を出すことが可能で、色ムラができない。サンゴや水草に満遍なく太陽光に近い光が当たり、光合成できるという。

静岡大学の実験では従来のLED照明と比べ、サンゴが大きく成長した。新製品は「サンゴのストレスが少なく、長期の飼育に適している」(静岡大学のカサレト・ベアトリス教授)という。新江ノ島水族館でも水草が育つことを確認した。

水深2.5メートルと11メートルを再現した製品のほか、地上の太陽光を再現した製品と観賞用の計4製品を水槽用品店などで販売する。価格は10万円前後。水族館用の大型製品も加えて、21年度に10億円の売り上げを目指す。

これまで京セラのLED照明事業は手術室用や自動車塗装検査用などの企業向けが大半で、足元の売上高は数億円にとどまる。これを2023年度には100億円に引き上げることを目指す。

水槽用が初めての消費者向け製品で、今後も商品群を広げていく考え。今後は「自然光を再現できる独自技術を生かしていきたい」(奥ノ薗隆志執行役員)という。年内に動物園用の製品も投入する方針だ。

(花田幸典)

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