2019年6月19日(水)

トランプ政権、対ロ融和修正に躍起 ロシアの挑発行動はやまず

2018/7/26 15:46
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【ワシントン=中村亮】トランプ米政権がロシアに対する融和姿勢の修正に躍起だ。今秋の開催をめざしていた米ロ首脳会談は提案から1週間で断念し、ロシアのウクライナ侵攻も厳しく批判した。11月の米議会中間選挙をにらみ、ロシア接近を批判する共和党への配慮がにじむ。一方、対ロ政策の迷走は抑止力の低下につながり、ロシアの挑発行動は止まらない。

ポンペオ米国務長官は議会でロシアへの強硬姿勢をアピールした(25日、ワシントン)=AP

「ロシアが融和的な外交政策にカジを切るまで、挑発行動をした場合のコストを高めていくことだ」。ポンペオ米国務長官は25日、米議会上院・外交委員会の公聴会でトランプ政権の対ロ政策の基本方針を語った。

米政権は公聴会直前にロシアから距離を置く2つの演出をした。ホワイトハウスは19日に明らかにしたロシアのプーチン大統領の今秋の訪米計画を断念して来年以降になると発表。ロシア側は11月末にアルゼンチンで開く20カ国・地域(G20)首脳会議などでの開催を探っていたが、あっさりと交渉を打ち切った。

また米国務省は「いかなる国も武力で国境を変えることはできない」とするクリミア宣言を突然発表した。2014年にウクライナ領クリミア半島を併合したロシアを非難したものだ。トランプ米大統領はクリミア併合はオバマ前大統領の責任でもあると主張してきたが、宣言はロシアの責任と明確にした。

背景には、対ロ融和に傾くトランプ氏への批判が共和党内で高まっていた事情がある。共和党指導部は24日、プーチン氏が訪米した場合に議会には招かないと明言した。武力による国境変更は戦後に米国が主導してきたルールに基づく国際秩序と相いれず、クリミア併合を強く非難しないトランプ氏の主張に批判が高まっていた。

共和党は11月の中間選挙で「トランプ頼み」の様相が鮮明になっている。トランプ氏の支持率は今春以降は4割を超え、共和党支持者の信頼は厚い。トランプ氏との近さは共和党候補が中間選挙を勝ち抜く条件となりつつあるなかで、対ロ政策で対立が先鋭化すれば民主党に攻撃材料を与えかねない。

米国の定まらない対ロ政策を見越してロシアの威嚇行動は止まらない。米メディアによると、16日の米ロ首脳会談の開催地ヘルシンキに向かうプーチン氏の専用機がエストニアを領空侵犯していたことが発覚。エストニア政府は17日に飛行計画が事前に通告されていなかったと発表し、ロシア大使を召還した。

ワシントンの欧州外交筋は「トランプ政権の経済制裁は強力だが、トランプ氏の融和姿勢がロシアに対する抑止力をそいでいる」と指摘する。ちぐはぐなトランプ外交は米国の影響力の低下を確実に進めている。

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