2018年9月22日(土)

トランプ関税にハーレーの「警告」

CBインサイツ
コラム(テクノロジー)
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2018/7/30 2:00
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 米トランプ大統領が発動した関税が中国や欧州も巻き込んだ「貿易戦争」の様相を見せ始めている。事態の推移が見通せないまま迎えた米主要企業による決算発表の場では貿易戦争の話題で持ちきりだった。多くはトランプ関税の悪影響を危惧するものだった。そんな中、大型オートバイの老舗である米ハーレーダビッドソンが発した「警告」が話題となった。影響は米国内の雇用や消費に直結しそうで、主要企業の思惑が入り乱れている。

 ハーレーは米国と欧州連合(EU)との関税戦争に巻き込まれている。

ハーレーダビッドソンは米国とEUとの関税戦争に巻き込まれた(6月22日、独ハンブルク)=ロイター

ハーレーダビッドソンは米国とEUとの関税戦争に巻き込まれた(6月22日、独ハンブルク)=ロイター

 米国が鉄鋼とアルミニウムの輸入にそれぞれ25%、10%の追加関税を課すと発表してから1カ月後の4月24日。ハーレーは決算発表で、「関税」について16回も触れた。米国に次ぐ第2の市場であるEUが報復措置に踏み切る可能性について警戒感をあらわにしたのだ。

 懸念は6月になって現実になった。EUは米国から輸入する二輪車の関税を6%から31%に引き上げた。

 ハーレーは顧客を失うことを恐れ、EUでの二輪車の小売・卸売価格を引き上げず、追加関税の負担を顧客に転嫁しないことに決めた。

 代わりに、短期的には負担増加をかぶりながら、EU向けの生産工場を米国から海外に移転する。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載しています。

 ハーレーにはEUの報復関税に伴う年間推定1億ドルの負担に加え、他の国に生産施設を新設するコストも発生するという。

 同社は6月25日に米証券取引委員会(SEC)に提出した臨時報告書で「巨額のコスト増加分をディーラーや消費者に転嫁すれば、EU事業に有害な影響が及ぶ」と述べている。

 ハーレーの「警告」を受け、数カ月後に関税の全体的な影響が明らかになれば、同社に追随する企業が増えるのではないかとの懸念が生じている。

 決算発表で関税に言及したのは、ハーレーだけではない。地政学的リスクが高まるなか、銀行や農機、ネット通販など様々な業界の企業が関税や貿易戦争についてこぞって論じた。実際、CBインサイツの調べでは、2018年4~6月に開かれた決算発表では、関税についての発言が過去最高の水準に達した。

関税の短長期的な影響についての企業による議論=2008~2018年の決算発表での「関税」への言及回数

関税の短長期的な影響についての企業による議論=2008~2018年の決算発表での「関税」への言及回数

 「貿易戦争」という言葉が使われる回数も急増している。

中国商務省の発言
「米国は7月6日、中国製品340億ドル相当に25%の追加関税を発動し、経済史上最大の貿易戦争に火を付けた」

 もっとも、これは米中の貿易摩擦が悪化した7月よりも前に行われた決算発表での話だ。中国の商務省は7月初め、米国の行為を「貿易上のいじめ」だと訴えた。

 米中両国は7月6日、互いの340億ドル相当の輸入品に追加関税を発動。自動車関連ニュースサイトの「エレクトレック」によると、米電気自動車(EV)メーカーのテスラが関税発動後の最初の週末に「モデルX」と主力セダン「モデルS」の各モデルの販売価格を2万2600~3万7600ドル引き上げ、自動車業界はすぐさま影響を実感した。

貿易戦争の脅威で懸念増大=13~18年の決算発表での「貿易戦争」への言及回数

貿易戦争の脅威で懸念増大=13~18年の決算発表での「貿易戦争」への言及回数

■アリババ、関税巡る緊張に関心

 米国と中国の緊張は3月以来高まっている。牛肉や大豆からハイテク部門への投資に至るまで、数百品目の製品を対象に関税や報復関税の応酬が続いている。

アリババの蔡崇信副会長の発言

アリババの蔡崇信副会長の発言

 そんな中、中国のアリババ集団は「中国の消費者は(米製品を輸入できなければ)当社のプラットフォームを通じて輸入品を持ち込む代替手段を見つけるだろう」と示唆。米国の中小企業に大きな影響が及ぶとも強調した。

 アリババの蔡崇信副会長は「当社は中国の消費者を満足させるために、代替経路で輸入品を提供できる。このため、貿易戦争は誰の得にもならない。実際には、米国の中小企業に被害が及ぶだろう」との見方を示した。

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米ハーレーとトランプ関税

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