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中国、不正ワクチン流通 「国産不信」に拍車

【大連=原島大介】中国で再び「国産品」への不信が高まっている。同国の製薬会社が不正なワクチンを製造し、少なくとも約36万人の子どもが接種した事実が発覚。自国産の安全問題が後を絶たないなか、国民の根強い疑念をさらに増幅させている。政府は自国ブランドの育成を目指すだけに、習近平(シー・ジンピン)国家主席が外遊先から調査を指示するなど問題の沈静化に躍起となっている。

「まさかこんなことになるとは……。本当に許せない」。遼寧省大連の公務員女性(31)は青ざめた。今月中旬、不正ワクチンのニュースを聞き、慌てて現在2歳になる息子の接種記録を調べた。すると、渦中の製薬会社、長春長生生物科技(吉林省長春)が製造した百日ぜきなどの混合ワクチンを使っていたという。

女性はもともと中国産の商品を信用しておらず、ワクチンについても輸入品を望んだ。ただ輸入品の入荷は不安定なため、仕方なく国産品に決めた。今のところ、息子の容体に異変はないが「非道徳すぎる」と憤る。

この問題は国家薬品監督管理局が7月、内部告発を受けて製薬会社に立ち入り調査したところ、狂犬病ワクチンの製造や検査の数値を改ざんしていたと発表したのがきっかけだ。その後、同社が昨年10月に国の基準に満たない混合ワクチンを約25万本販売したとして、罰金刑を受けていたことも明るみに出た。

また、湖北省武漢にある別の製薬会社も同様の不正を行っていたことが発覚。中国メディアによると、山東省や重慶市などに計65万本が流通し、このうち36万本が使用済みという。子どもの命にかかわるだけに、国民の怒りは一気に爆発した。

政府も対応に追われた。李克強(リー・クォーチャン)首相は22日「人民の生命の安全を損なう犯罪行為は徹底して取り締まる」と問題を批判。習主席も翌23日、外遊先のアフリカから「即座に真相を調査し、厳格に処理するように」と指示した。既に製薬会社の幹部ら15人を拘束し、汚職の有無などを調べている。

中国政府は昨年から国内ブランドの品質向上を目指して「国家ブランドの日」を制定し、国内企業の商品やサービスの宣伝を強化していた。そのさなかの問題発覚だけに、習氏らの異例の指示は国民の怒りの矛先が政府に向くことを恐れているようだ。

中国では2008年に同国の乳業メーカー製の粉ミルクを飲んだ乳児が死亡する事件が発生。最近でも使用期限切れの鶏肉をファストフード店に販売したり、下水から抽出した食用油をレストランで再利用したり、と問題がやむ気配はない。

中国人の自国ブランドへの不信感は高まる一方で、これが日本など海外ブランドの信仰につながっている。問題を受け、中国のネット上では「今後は日本に旅行する際、ついでにワクチン接種も受けよう」という呼びかけも出ている。

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