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酷暑対策やムチ規制 「馬の福祉」に配慮一段と

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2018/7/27 6:30
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過去にないほどの酷暑となっている今年の夏。夏場も休みがない日本の競馬では、馬にとってもかなり厳しい環境でレースが行われている。日本中央競馬会(JRA)は馬の熱中症対策を年々強化しているが、「馬の福祉」の観点からもこうした取り組みは重要になる。馬の福祉とは、競走馬がレースなどで受ける苦痛をできるだけ軽減しようとする考え方。海外での議論が先行しており、国内でも近年、騎手の使用するムチの制限、治療薬の効果が残った馬の出走禁止など、暑さ対策以外にも馬の福祉に関する取り組みが強化されている。

うんざりする暑さが続いた7月の中京競馬。今年はパドック(下見所)の光景がこれまでとは違った。ミストを散布する装置が外柵沿いに設置され、白い霧状の水滴が漂う中、馬が周回を重ねていた。

パドックのミスト設置は2017年夏の小倉から。18年に福島、新潟、中京へと拡大された(17年夏の小倉)

パドックのミスト設置は2017年夏の小倉から。18年に福島、新潟、中京へと拡大された(17年夏の小倉)

JRAは2017年夏、小倉競馬場のパドックに初めてミストを設置。今年からは7、8月に競馬を実施する福島、新潟、中京の3競馬場にも広げた。もともとミストは、レース前の馬がコースに入場後、レースまでの間を待機する「待避所」に10年前から置かれるようになった。その後、パドックに入る前に出走馬の馬体の検査をする「装鞍所(そうあんじょ)」などへ設置場所が広がってきた。

レース当日、熱中症の馬が急増

人間以上に馬は暑さに弱いとされる。実際、レース当日に熱中症にかかった馬は急増している。中央競馬では、00年に3頭だったのが10年には24頭にまで増えた。ここ3年では15年が38頭、16年は36頭、17年は41頭の馬が熱中症になった。ミストのほかにも、近年は夏場のパドックの周回時間を通常より5分程度短縮。競馬場内のシャワーや扇風機などの設備も増やし、レースの前後にかかわらず、馬をすぐに冷やせる態勢を整えている。

馬の福祉に対する考え方が進んでいる諸外国では、暑さを理由に開催そのものを中止することがある。一方、ファンの馬券売り上げで運営が成り立っている日本では、盛夏でも毎週レースを組み、その日程を消化することに重きが置かれる。根本から馬の福祉を向上させるのであれば、夏場の開催の縮小や涼しい時間帯にレースの発走時間を変えるなどの手立てが必要だろうが、それも簡単には実現しない。現在の状況で可能な限り馬の苦痛を軽減しようという取り組みが、ミストの設置やパドックの周回時間短縮といった暑さ対策だといえる。

今ある対策の中で、より本質的に馬の福祉の向上につながるものは、ファンから見えないところで今年から始まったある取り組みだろう。レース直前の馬が水を飲めるようになったのだ。

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