2019年5月20日(月)

外来カミキリから樹木守れ 被害拡大、対策待ったなし

2018/7/25 11:27
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国指定の特定外来生物で、桜や桃などバラ科の樹木を食い荒らす「クビアカツヤカミキリ」による被害が広がっている。各自治体は駆除方法の研究資金を寄付で募ったり、分布状況の把握に住民の協力を仰いだりと、対策に乗り出した。専門家は「被害拡大を防ぐには待ったなしの状況」と警鐘を鳴らす。

用水沿いの桜並木にクビアカツヤカミキリがいないか見回る加納正行さん(6月21日、埼玉県草加市)=共同

クビアカツヤカミキリの成虫=共同

森林総合研究所(茨城県つくば市)や環境省によると、クビアカツヤカミキリは中国や朝鮮半島などが原産。樹木に入り込んだ幼虫が内部を食い荒らし、繁殖力がとても強い。

国内での被害は2012年に愛知県で初めて見つかり、これまで栃木、群馬、埼玉、東京、愛知、大阪、徳島の7都府県で確認されている。今年1月、生態系に害を及ぼす恐れのある特定外来生物に指定された。

埼玉県草加市を流れる用水沿いの桜並木。花見の名所だが、13年にクビアカツヤカミキリが見つかり、市はこれまでに約20本を伐採。現在は成虫が他の木に移るのを防ぐためネットで覆っている。見回り活動をしている県生態系保護協会の加納正行さん(83)は「長年の対策で用水沿いは被害を抑えているが、他の場所に広がってしまった」と肩を落とした。

農作物への影響も深刻だ。徳島県は昨年、県内の桃農家177園を調査。70園で被害が確認され、同県板野町ではほとんどの木が枯れた園もあった。栃木県でも桃の被害が出ている。

徳島県は被害拡大を受け、クラウドファンディングで研究資金を集めて、有効な農薬や、フェロモンを使ったわなの開発を進めている。

埼玉県は分布状況を把握するため、幼虫生息の目印となるフラス(木くずとふんの混合物)が木の根元に落ちていないかなどを、住民や桜の管理者に報告してもらう取り組みを開始。群馬県は3月に担当者向けの研修会を開いた。

駆除には課題もある。侵食が激しい木は伐採せざるを得ないが、多額の費用がかかる上、桜の場合は、愛着を持つ住民感情への配慮も必要だ。さらに自治体の担当者は「管理者が行政や企業、個人とまちまちで、温度差があり協力を得られないケースもある」と、対応の難しさを口にする。

森林総合研究所でクビアカツヤカミキリを調査している加賀谷悦子さんは「『まだ花を咲かせているから』と対応が遅れると、取り返しがつかないことになる。初期対応の強化が結果的に被害を抑えると理解し、行政も住民も主体的に取り組んでほしい」と話した。〔共同〕

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