2018年11月14日(水)

アジアで快走の三菱自、悲願の国内黒字化へ吹く追い風

2018/7/25 7:00
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三菱自動車がアジアで快走している。インドネシア発のミニバン「エクスパンダー」がヒットする東南アジアの販売台数は4~6月に前年同期比28%増の6万9千台に達し、中期経営計画で掲げた目標の上振れも確実だ。現地生産する多目的スポーツ車(SUV)「アウトランダー」が好調な中国も大きく伸ばした。残る難題は不振の国内販売の立て直しに移る。

「全地域で販売台数が伸びた」と語る三菱自動車の池谷CFO(24日、都内の本社)

「全地域で販売台数が伸びた」と語る三菱自動車の池谷CFO(24日、都内の本社)

映画「空飛ぶタイヤ」のモデルにもなった00年代の相次ぐリコール隠しから回復しつつあった16年、今度は燃費データをめぐる不正が発覚。同年10月に日産自動車の傘下に入ったものの、不正でブランドは傷つき、17年3月期の国内販売は8万台に落ち込んだ。

益子修・最高経営責任者(CEO)は「不正発覚前の10万台超に戻す」と意気込み、18年3月期は9万8千台まで戻した。だが国内販売の約6割は利益率が低いとされる軽自動車で、前期も国内事業は141億円の赤字に終わった。カルロス・ゴーン会長からは「会社全体の利益率は他社より良いのに、ホームマーケットで赤字はあり得ない」と檄(げき)が飛ぶ。

全体では収益力の回復が進んでいる。18年4~6月期の売上高営業利益率は5%。20年3月期に6%以上とする中期計画の目標に迫った。販売台数は新車効果が寄与して全地域で前年同期を超えた。かえって国内の赤字が目立つ形となり、24日の決算説明会で池谷光司・最高財務責任者(CFO)は国内についても「何とか今期に黒字化させたい」と宣言した。

追い風は吹く。燃費不正のイメージが薄れ、ディーラーへの支援金が減って販売費用は改善を見込める。4月に販売金融を完全子会社化し、新車販売時に保険やローンなどを組み合わせ、残価設定も自由にできる体制は整えた。日産をベンチマークとするサービス強化やカーナビなど備品の拡販も板についてきた。

3月には国内4年ぶりの新型車のSUV「エクリプス・クロス」を発売。24年3月期までに全主力車種にPHV(プラグイン・ハイブリッド車)やEV(電気自動車)などの電動車をそろえ、利益率の改善を急ぐ。実際、4~6月期は営業赤字が前年同期の75億円から1億円に縮小した。通年の黒字化も視界にとらえた。

7月上旬に西日本を襲った豪雨では、物流網混乱の影響で軽自動車などを生産する水島製作所(岡山県倉敷市)などの操業を一時停止した。

取引のある部品会社で従業員に死者が出るなど被害が大きく、運転資金として250社に計110億円を前倒しで支払う支援に乗り出した。「16年の燃費不正当時は販売減で水島周辺の部品会社に迷惑を掛けた。その時のことを思い返し、しっかりサポートしていきたい」(池谷CF0)と恩返しの気持ちは強い。

益子CEOは「とにかくローキーのままでいくぞ」と社内に言い聞かせているという。約13年間、三菱自を率いてきた経験から「上向いてきて調子に乗ったときが1番危ない」と心得ている。目立たずとも着実に利益を稼いで仏ルノー・日産との連合で存在感を保ち、したたかに生き残る。

(企業報道部 中藤玲)

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