新天守バリアフリーなお溝 名古屋市側と障害者

2018/7/24 22:45
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木造復元する名古屋城天守閣のバリアフリー対策を巡り、名古屋市は24日、エレベーター(EV)に代わる新技術の説明会を初めて開いた。階段昇降機などの技術を開発中の企業と障害者団体が参加した。天守閣の復元完成予定である2022年までの技術開発を目指す市側に対し、障害者からは実現性や安全性に疑問の声が上がり、溝は埋まらなかった。

初の説明会で企業「開発する技術力ある」

会議には国内の企業4社が参加したが、いずれも大きさの関係などから試作品の実物ではなく、動画や写真で説明した。

木造復元する名古屋城天守閣のバリアフリー対策をめぐり、企業が新技術を説明した(24日、名古屋市中区)

木造復元する名古屋城天守閣のバリアフリー対策をめぐり、企業が新技術を説明した(24日、名古屋市中区)

歩行補助ロボットなどの開発を手掛ける福岡県の企業は「(22年までに)開発できる技術力はある。発注されれば一気に進む」と訴えた。ほかの企業も、車いすのまま乗れる階段昇降機や介助者の負担を軽減するパワードスーツ、江戸時代の駕籠(かご)をイメージした技術などを紹介した。

■障害者団体は「求める水準に遠く及ばない」

障害者団体からは「車いすを乗り換える必要があるなど、求める水準に遠く及ばない」「昇降中に地震が起きても大丈夫か」など、技術の実現性や安全性に疑問の声が相次いだ。

市は5月末、「史実に忠実な復元」をするとして、新天守閣にEVを設置しない方針を決定。代替案として11種類の新技術を挙げ、障害者も含めた協議会を開くと表明した。障害者側は「EV不設置が前提の協議には応じない」と強く反発。市が6月中を目指していた協議会は開けず、今回も技術の「説明会」との位置づけだ。

市は今後も説明会を継続する考えだが、次回の日程は未定。会合に出席した河村たかし市長は終了後、記者団に「新技術の国際的なコンペを秋口に実施したい」と強調。年内にもEVに代わるバリアフリーの新技術を絞り込む考えを示した。

バリアフリーに詳しい近畿大の三星昭宏名誉教授は「公共建築物を造る際は、最初から障害者と検討するのが基本。新技術の議論も技術者だけで進めず、福祉の現場の声を取り入れるべきだ」と指摘している。

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