国際帝石主導のLNG生産開始へ 調達多様化に一歩

2018/7/24 19:52
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【ダーウィン=花房良祐】国際石油開発帝石がオーストラリア北西部で進める液化天然ガス(LNG)計画「イクシス」が近く生産を開始する。2~3年後にフル稼働し、日本の全輸入量の1割強に匹敵する年890万トンを生産する。国際帝石は日本企業として初めて大型LNGの開発を主導。欧米の石油メジャーが牛耳ってきたLNGビジネスに本格参入する。

国際石油開発帝石が開発を主導するLNGプラント「イクシス」(24日、豪州北西部ダーウィン)

国際帝石が24日、豪北西部ダーウィンでLNGプラントを日本メディアに公開した。市街地からバスに揺られて45分。ワラビーが道路を横切るような場所に、長さ約360メートルの液化設備やLNGタンク、発電所など巨大設備が姿を現した。工事はほぼ終了し、大川人史執行役員は「設備の準備はほぼ整った。まもなく生産を開始できる」と話した。

LNGビジネスは鉱区の取得・開発からファイナンス(資金調達)、販売先の確保など膨大なノウハウが必要で参入障壁が高い。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと米エクソンモービルなどが圧倒的な地位を占める。

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、LNGの権益ベースの生産量はシェルが年間約4000万トンで断トツ。エクソンが約2100万トンで続き、米シェブロン、仏トタルなどが1000万トン台でせめぎ合う。

国際帝石はイクシスの生産が始まると生産量は600万トン超。同社はインドネシアでもLNG事業を控え、これを足せば1000万トンクラスになり欧米勢に迫る。

陸上プラントの設計・資材調達・建設は日揮千代田化工建設などが請け負った。イクシスには現地のコストの高さに対応した工夫がみられる。

周辺の人口は少なく作業員の確保が難しい。現地で宿泊費や間接費などすべての費用を合算すると、労働者1人を1時間雇うコストは320米ドル(約3万5500円)。マレーシアの10倍以上、米国南部の3倍もある。熟練した作業員の年収は2000万円程度に上る。

このため、事前にプラントを中国やタイなどの工場に外注するという工法を採用。プラント全体を236個のブロックに分割して製作、専用船で各地から運搬して現場でくみ上げた。

中国などアジアのLNG需要が急伸するなか、安定調達への期待もかかる。イクシスの年産890万トンのうち7割が日本向け。イクシスからLNGを調達する東京ガスの原料担当は「供給の信頼性という意味では日本企業が開発する意義は大きい」と話す。

JOGMECの野神隆之首席エコノミストは「日本のLNGの備蓄は約20日分で、原油の10分の1しかない。LNGの供給が途絶すれば影響は大きく『日の丸LNG』の存在は重要だ」とみる。

豪州から日本の航路なら、中東のホルムズ海峡や東南アジアのマラッカ海峡、米州のパナマ運河といったエネルギーの「チョーク・ポイント」(航路の要衝)を通過しないのもエネルギー安全保障面でプラスだ。

日本は石油危機以来、石油への依存を減らし、天然ガスの活用を拡大してきた。エネルギー源としてのLNGの重要性が増すなか、日本企業が手がける初の大型LNGとしてイクシスの存在感は高まる。

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