2019年4月20日(土)

岡山で国際芸術イベント ストライプインターナショナル社長 石川康晴さん(語る ひと・まち・産業)
子どもたちの創造力育む

コラム(地域)
2018/7/25 12:00
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■カジュアル衣料大手、ストライプインターナショナル(岡山市)社長の石川康晴さん(47)は現代アートの国際イベント「岡山芸術交流」総合プロデューサーとしての顔も持つ。自ら設立した石川文化振興財団を通じて、芸術を核に岡山の発展へ情熱を傾ける。

いしかわ・やすはる 1970年岡山市生まれ。岡山大経済学部卒。京都大経営管理大学院修了。94年創業、95年クロスカンパニー(現ストライプインターナショナル)設立。2014年に公益財団法人石川文化振興財団を設立、理事長に就任。

いしかわ・やすはる 1970年岡山市生まれ。岡山大経済学部卒。京都大経営管理大学院修了。94年創業、95年クロスカンパニー(現ストライプインターナショナル)設立。2014年に公益財団法人石川文化振興財団を設立、理事長に就任。

「岡山には起業家として大成し、(大原美術館を設立して)文化をこよなくサポートした故・大原孫三郎さんがいる。そして福武書店(現ベネッセホールディングス)の福武総一郎さんが、直島(香川県直島町)でアート活動をした。2人の次を引き継いで、世界に通用する瀬戸内芸術地域を継続させなければならないという思いがあった」

「インバウンド(訪日外国人)にとっての新しいコンテンツになることを意識している。交流人口の増加で、地域経済の発展に貢献できれば良い。同時に岡山や瀬戸内のブランディングで外からの評価が上がり、郷土愛も醸成されるのではないか。これら全部が我々の活動の狙いで、本気でやるために財団を作った」

■2019年秋に開く第2回のコンセプトは「OK(いいね)、岡山」。フランス生まれの芸術家、ピエール・ユイグ氏がアーティスティックディレクターを担当する。

「大原さんは近代美術、福武さんは現代美術だが、我々は現代美術よりも難解な『コンセプチュアルアート』に寄ったスタンスだ。歴史観や哲学に由来する作品が多い。例えばベトナムの作家がジョン・F・ケネディ元米大統領の椅子を分解して作品にしているが、それについて作品の前で考えることが創造力の育成につながると思っている」

岡山芸術交流2016では岡山城周辺を舞台に様々な作品が登場した((C)Okayama Art Summit 2016)

岡山芸術交流2016では岡山城周辺を舞台に様々な作品が登場した((C)Okayama Art Summit 2016)

「(あらゆるものがネットにつながる)IoTや人工知能(AI)化が進んだこれからの時代には、創造力が必要だ。そのための教育プログラムとして、岡山芸術交流を行うといっても過言ではない。岡山を文化度や教養度の高い地域にして、子どもたちの教育に寄与したい」

「わからないことが楽しいという視点、作品ではなく概念や考え方を見るという視点が大事だと思う。普通に見るだけだと15分で回れるが、どのようなコンセプトで作ったかを考えると作品の前から30分は動けなくなるだろう」

■2回目の開催を前に、岡山後楽園近くの歴史的建造物、旧福岡醤油(しょうゆ)の建物や土地などを取得し、再生を進めている。シェアリングエコノミーの考え方が普及する中、観光振興に向けて既存の資産を有効利用する大切さを訴える。

「ギャラリーに加えて商業施設や宿泊施設を整備する。京都の金閣寺や銀閣寺、福岡の太宰府天満宮などには古くから門前に連なる商店街があるが、後楽園にはない。長く滞在してもらうためには、訪日客や県外客が楽しめるだけでなく、地元の人もちょっと行ってみたくなるエリアをつくることが重要だ」

「平等感を大事にしなければならない行政の戦略だけでは、街に個性ができにくい。対象を絞ったマーケティングが可能な財団や民間が行政と歩幅を合わせて動いていけば街は魅力的になるのではないか」

■次を担う人材へ視線

《一言メモ》西日本豪雨の影響で、ストライプインターナショナルも一時、広島、岡山、福岡の3県で17店舗が休業に追い込まれた。一方、婦人服など1万点を岡山県倉敷市に寄付したり復興支援セールを開催したり、いち早く支援に動いている。

東京に本部を移してからも、出身・創業の地である岡山への思い入れは強い。特に今回の豪雨災害に関しては「子どもたちが何かを失うことだけは取り除きたい」と、次世代を見据えた支援の必要性を訴える。

背景には、自身を追い越す勢いを持った新しい起業家の登場を待ち望む思いがある。中国銀行などが立ち上げた創業支援講座で講師を務めており、未来の岡山を担う人材の育成への情熱は強まる一方だ。

(岡山支局 沢沼哲哉)

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