2019年3月21日(木)

皇位継承儀式、異例の体制で準備 警備や簡素化など課題

2018/7/24 18:00
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政府は約200年ぶりの天皇陛下の退位に向けた準備に万全を期すため、異例の体制で臨む。8月1日に退位と皇太子さまの即位に伴う儀式の準備を統括する事務局を新設。内閣府と内閣官房が合同で運営する組織とし、事務次官級をトップに専任職員を26人置く。陛下の負担を減らすための儀式の簡素化や、時代に合わせた儀式のあり方などの検討に入る。

事務局長には総務省の山崎重孝自治行政局長が就く。政府関係者によると、特定分野の準備事務局のトップを次官級ポストにするのは異例だ。

山崎氏は内閣総務官時代に退位を実現する特例法の成立に注力した。今年4月に閣議決定した儀式の基本方針の取りまとめにも関わった。菅義偉官房長官は24日の記者会見で「これまでの経歴を踏まえた適材適所だ」と語った。

政府は今年秋に、安倍晋三首相と菅氏をトップとする準備組織をそれぞれ設け、儀式の詳細を詰める。9月に自民党総裁選があるため、まずは政治家が加わらない形で事務レベルで事前調整を進めることにした。

天皇陛下は2019年4月30日に退位し、皇太子さまは5月1日に新天皇に即位する。退位は現憲法下では初めてだ。

政府が異例の体制で入念な準備態勢を敷くのは、皇位継承に伴う儀式は数が多いだけでなく、20年までの長期間にわたって相次ぎ実施するためだ。

事務局が関わるのは、19年2月24日の陛下の在位30年記念式典から、秋篠宮さまが皇位継承順位1位の皇嗣になったと示す20年の「立皇嗣の礼」までの儀式だ。

その間には陛下が国民に最後のお言葉を述べる19年4月30日の「退位礼正殿の儀」や、皇太子さまの「即位の礼」の中心的な儀式である同年10月22日の「即位礼正殿の儀」などもある。

世界各国の首脳らが参加するため、出席者の招待や席の配置、警備体制など膨大な準備作業が必要になる。なかでも即位礼正殿の儀は、各国の要人が2千人規模で参加する大きな儀式となる。

新設する事務局は新しい時代に合わせた儀式のあり方も検討する。数多くの儀式をどう簡素にし、参加する陛下や皇太子さまの負担を減らすかが優先課題だ。宮内庁関係者は「陛下が退位礼正殿の儀に万全の体調で臨まれ、儀式中も体調を崩されないよう細心の注意を払う必要がある」と語る。

即位の礼の一部として19年10月22日に執り行う「祝賀御列の儀」では、新天皇がオープンカーに乗って国民から祝福を受ける。前回、約4千万円で購入したロールスロイス社製は古くなり、走行が難しい。今回、新天皇が乗る車をどう調達するかも検討対象だ。

新天皇が即位後、初めて国民の安寧を祈る19年11月14~15日の「大嘗祭(だいじょうさい)」は国費を使って開く。祭場「大嘗宮」は前回、総工費を約14億円かけたが、儀式や一般公開を経て3カ月で壊されたことを疑問視する声も出た。

今回は儀式の内容に大きな影響が生じない範囲で、祭場の規模を縮小できるか宮内庁とともに検討する。装束の再利用の可否なども協議する。

政府は4月、一連の儀式は現行憲法下で検討した「平成」の際の前例を踏襲すると閣議で決めた。ただ即位礼正殿の儀での新天皇と首相の立ち位置や、首相が新天皇に「万歳三唱」をするかなどの論点は残ったままだ。

こうした儀式の細部は象徴天皇制などのあり方と絡むだけに、慎重な検討が必要だ。例えば、平成への代替わりの際、宮内庁は昭和への代替わりの前例にならい、当時の海部俊樹首相が庭に下りて「天皇陛下万歳」の発声をするよう求めた。海部首相は陛下と同じ松の間で発声した。

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