日本のアジアへのスタートアップ投資、中国を抜く

2018/7/23 15:08
保存
共有
印刷
その他

日本の投資家はアジアに目を向けている? 情報サイトのテックインアジア(TIA、シンガポール)が23日発表した調査によると、2017年の日本からアジアへのスタートアップ投資は99件(前年94件)と、中国の64件(同60件)を上回った。成長市場の若い企業に注目する構図は鮮明だが、資金の供出規模は特定の1社が突出しており、偏りが目立つ。

グラブの配車アプリ。ソフトバンクグループはグラブのほか、中国の滴滴出行など世界各地のライドシェア企業に出資している

調査はTIAが独自のデータベースを基に、日本と中国のVCやコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)、政府系ファンドの投資動向をまとめた。17年のアジア(本国を除く)での投資額は日本が前年比65%増の168億ドル(約1兆8600億円)と、中国の167億ドルをわずかに上回った。

ただ、日本の投資額が拡大したのは、ソフトバンクグループによる中国のライドシェア大手の滴滴出行やシンガポールのグラブへの大型出資が大きい。ソフトバンク単独の出資を除くと、日本の投資額はわずか8億4000万ドルに落ち込む。創業初期段階のシードやアーリーのスタートアップ向けが多く、1件当たり1000万ドル以下の投資が7割を占める。

もっとも、投資の裾野は広がりつつある。5月に東証マザーズに上場したネット印刷のラクスルは海外展開を視野に、インドネシアやインドの同業に出資。マネーフォワードも両国のスタートアップに出資している。「日本のスタートアップ業界は内弁慶と見られがちだが、アジアのエコシステム(生態系)に大きく関与している」(TIAのデイビッド・コービン日本代表)

アジア向けの投資が拡大する背景には、エグジット(投資回収)の広がりもある。これまではM&A(合併・買収)が大半だったが、17年10月にはシンガポールのネット大手Sea(旧ガレナ)がニューヨーク証券取引所に上場。スパイラル・ベンチャーズの堀口雄二社長は「エグジットの道が増え、アジアのスタートアップ市場はさらに拡大する」と指摘する。

18年も活発な動きが続く。VCの東京大学エッジキャピタル(UTEC、東京・文京)はアジアで初めての投資案件として、シンガポールのヘルステック企業に出資した。GMOベンチャーパートナーズが6月に立ち上げたフィンテックファンドは最大10億円規模に拡大させ、東南アジアに集中投資する計画だ。

18年1~6月の日本からの投資額は18億ドルと、中国の32億ドルを下回っている。GMOベンチャーパートナーズの新ファンドに参画するマネーフォワードの辻庸介社長は「カネ余りの中、投資だけでなくスタートアップの目線に立った支援をしていく」と話す。投資側の目利きが一層問われそうだ。(駿河翼)

 日本経済新聞社は朝刊紙面で豊かなアイデア溢れるスタートアップ企業を紹介する「スタートアップ@NIKKEI」を始めます。第1回は「次世代決済を核としたフィンテック」。応募要項はこちら。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]