2019年3月23日(土)

英GDP、月次でも公表開始 速報性・精度向上へ改革

2018/7/23 9:06
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【ロンドン=篠崎健太】英政府が月次の国内総生産(GDP)の公表を7月から始めた。政治家や中央銀行などの政策立案者に、景気の動きをより早くつかんでもらうねらいだ。民間の調査機関が毎月の成長率を独自に推計する例はあるが、公式な統計をつくるのは主要国では珍しい。四半期分について、速報値の精度を上げるための見直しも併せて実施した。

5月の実質成長率は前月比0.3%増――。英政府統計局が10日に初めて出した月次GDPの速報値は、4月の同0.2%増からやや加速した。月ごとのほか直近3カ月分の成長率も示す。3~5月期は前の3カ月比で0.2%増と、1~3月期と同じ伸び率だった。

統計局は月次GDPについて「より良質で迅速な英経済の情報を政策立案者に届けられる」(GDP部門トップのジェームズ・スクルトン氏)と意義を説明する。みずほ総合研究所の山本康雄ロンドン事務所長は「3カ月の中の動向をいち早く把握できるようになった利点は大きい」と話す。

1~3月期のGDPは前期比0.2%増と、17年10~12月期から成長率が0.2ポイント縮んだ。4月下旬に発表された速報の段階では0.1%増と急減速が鮮明となり、英中央銀行イングランド銀行が、当初は確実視されていた5月の利上げを見送る一因になった。2~3月の記録的な大雪や寒波が経済活動を妨げた。

月次GDPをみると細かい動きがわかる。1月の前月比0.2%増から、2月は0.2%減と1年ぶりにマイナスに転落した。3月の横ばいを経て4月には0.2%増と持ち直した。「1~3月期の弱さは天候要因が大きかった」というカーニー英中銀総裁の見方に沿った動きになっている。

英調査会社キャピタル・エコノミクスは「英経済が勢いを幾分取り戻していることを確認できた」と8月の利上げ判断の支えになると指摘する。

月次のGDPは当該月の最終日から約40日後に公表する。これまで四半期の速報値は期末から約25日後と、米国(約30日後)を上回り主要7カ国(G7)では最短で出していた。月次にあわせて四半期分の公表も2週間繰り下げる。期末の約1カ月半後に公表する日本やドイツなどとほぼ同期間になる。

その代わりに速報の質を向上させた。これまで四半期GDPは、1次速報では「生産面」のデータだけで推計していた。新たな速報値は月次も含め、個人消費などの「支出面」や、「所得面」の資料も使って作成する。

経済統計の改善には、データの収集や分析を支える技術の進歩が貢献している。統計局は17年12月からGDPの推計に、約63万の事業所から集める付加価値税(VAT=日本の消費税に相当)のデータを活用し始めた。月次GDPは振れがやや大きい点に注意が必要だが、経済動向をより的確に把握する手掛かりとして役立ちそうだ。

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