2018年11月17日(土)

公文書改ざん防止、遠い抜本改革 政治責任置き去り

2018/7/20 19:18
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政府は20日、財務省による公文書改ざん問題などを受けた再発防止策を公表した。政府内に公文書管理の点検に特化した部署を設け、監視体制を強化する。ただ第三者機関でなく政府内での監視にとどまり、チェック機能がどこまで働くか課題も残る。公文書の定義や範囲のほか、政治責任に関する議論は置き去りのまま。抜本改革にはほど遠い内容となった。

目玉に掲げたのは監視体制の強化だ。特定秘密を扱う内閣府の独立公文書管理監の権限を政府全体の一般の公文書チェックに広げる。各府省庁にも専門部署を置き、二段構えの監視体制を敷く。安倍晋三首相は同日開いた閣僚会議で「責任体制の明確化、監査機能、ガバナンスの大幅な強化を図る」と強調した。

だが政府内でのチェック機能に懸念の声もある。2014年に特定秘密保護法の施行に合わせて設けた独立公文書管理監は2代続けて検事出身者が就いている。公文書管理委員会前委員の三宅弘弁護士は「独立公文書管理監は文書管理の専門家としての見識を持っているとは言えず、内部での監視には限界がある」と指摘する。

米国では連邦政府下の独立機関の国立公文書記録管理局がチェック役を担い、政治から独立した立場で全省庁を指示・監督している。三宅氏は「独立した監視権限を持つ第三者機関を設立すべきだ」と訴える。

学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る問題などで浮かび上がった、公文書の定義や範囲を巡る議論も置き去りになった。公文書管理法は公文書について「組織的に用いるもの」と定めているが、メモやメールは「職員の個人的なもの」と解釈して公文書の対象から外す場合もある。

政府は4月、どの文書を残すかという定義や範囲を巡り、1年未満で廃棄してもよい文書を7種類に限定する新指針の適用を始めた。だが、その判断は課長級の裁量が大きいままで、都合の悪い文書は個人メモとして保存しない懸念は解消されていない。

NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「指針で定めた文書以外は公文書でないと決めつけてしまい、逆に公文書が残らなくなるリスクが高まる」と指摘する。

不正の抑止策を巡っては、処分を厳格にする方針を打ち出した。改ざんや隠蔽など特に悪質な行為には免職を含む重い処分を科すと人事院の懲戒処分指針に明記する。ただ、どのような不正行為にどの程度の処分を科すかの基準は今後、人事院で検討する。運用に際しどこまで厳格に処分を適用できるかが課題となる。

官僚側の処分や研修の強化を掲げた一方、政治レベルの責任を巡っては議論の形跡がほとんどない。財務省の決裁文書改ざんでは、土地の売買交渉の過程で出てきた政治家の名前が削られていた点が問題になった。三木氏は「政治との関わりで起きた問題なのに現場レベルで適切な管理を促す対策だけでは不十分だ」と指摘する。

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