2019年7月23日(火)

マイクロソフトに迫る2020年問題
主要ソフトサポート終了で顧客争奪激化

2018/7/20 14:07
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【シリコンバレー=白石武志】米マイクロソフトにクラウド普及の追い風が吹いている。19日発表した2018年6月期決算は、売上高が通年ベースで初めて1000億ドル(約11兆2000億円)の大台を突破した。次のハードルは2年後の2020年。屋台骨だった3つの主要ソフトウエアのサポートが終わる予定で、他社が顧客を奪う好機とみて攻勢をかける可能性もある。クラウドへの移行をめぐるライバルとの攻防が熱を帯びる。

■ソフト依存体質残る

ナデラCEOは19日の電話会見で前期決算の好調ぶりをアピールした(5月にフランスで講演したナデラ氏)=ロイター

ナデラCEOは19日の電話会見で前期決算の好調ぶりをアピールした(5月にフランスで講演したナデラ氏)=ロイター

マイクロソフトの18年6月期決算は、売上高が前年同期比14%増の1104億ドルだった。米大型減税に伴い海外から還流させた利益に課税された影響などで純利益は165億ドルと35%減少したが、一時的な影響を除くと収益力は高まる傾向にある。19日の電話会見でサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「過去12カ月間に達成したことを誇りに思う」と話した。

成長をけん引するのは世界2位のシェアを持つ企業向けのクラウドサービスだ。企業の情報システムに加え、人工知能(AI)を使った顧客分析などにも用途が広がっている。業務ソフトサービス「オフィス365」やクラウドインフラ「アズール」などの法人向けクラウドサービスの売上高は56%伸びた。

ただ、ソフト販売に依存する収益構造からの決別にはなおハードルが残る。20年にかつての主力商品だったパソコン向けOS「ウィンドウズ7」とサーバー向けOS「ウィンドウズサーバー2008」、業務ソフト「オフィス2010」のサポートが一斉に終了時期を迎えるためだ。

サポート終了に伴い、法人顧客の間では大量の更新需要が発生すると見込まれている。法人市場ではクラウドサービスの機能の一つとしてOSや業務ソフトを提供するケースが増えているため、今回はクラウドへの移行が増えそうだ。ソフトからソフトへの買い替えではなく、ソフトからクラウドへの大規模な移行はマイクロソフトにとっても初めてとなるだけに、「社内では緊張感が高まっている」(同社)という。

■アマゾンやグーグルと顧客争奪戦

サポート終了のタイミングはライバルにとっても顧客を奪うチャンスとなる。クラウドサービス首位で最大のライバルである米アマゾンウェブサービス(AWS)が値下げと機能追加を繰り返して競争力に磨きを掛けるほか、米グーグルもAIを使った分析ツールなどで顧客の裾野を広げつつある。

カギを握るのはサービスの普及を担う外部企業との連携策だ。AWSは顧客企業へのクラウド導入を支援するパートナー企業について、厳しい認定制度を導入することで営業の効率を高めている。一方、ソフト販売時代の名残でマイクロソフトのパートナー企業の従業員数は総勢1700万人に上るとされ、クラウド時代に合わせた再編成が課題となっている。

19日の決算発表で、ナデラCEOは15年7月に発売したパソコン向けOSの最新版「ウィンドウズ10」の利用台数が7億台近くに達したと明らかにした。ただ、安定性に対する高い評価から、世界ではほぼ同数の「ウィンドウズ7」搭載端末がなお稼働しているとみられている。

マイクロソフトは法人市場についてはサポート終了までに最新OSの比率を全体の9割前後まで高める方針。残り約1年半は従来を上回るペースで最新OSを普及させ、顧客を囲い込むことが必要になる。ライバルの動きをにらみながらの神経戦が続く。

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